本格的な普及を前に,車載用Liイオン2次電池の価格競争が激化している。台風の目は,LG Chem社である。自動車メーカーに対して,携帯機器向けと同等の価格を提示し始めた。他の車載電池メーカーも追従せざるを得ない状況に追い込まれそうだ。足元の自動車市場では,Liイオン2次電池の搭載車の投入がようやく本格化してきた。2011年1月24~28日に開催された車載用電池の国際会議「AABC 2011」では最新車両に搭載されるLiイオン電池の詳細が明らかになった。

2社以上からの調達を進める大手自動車メーカー

 「1社購買はしない」(トヨタ自動車代表取締役副社長の内山田竹志氏)──。

 自動車メーカーが今,車載用Liイオン2次電池の複数社購買(調達)に向けて動きだしている。トヨタ自動車は,三洋電機からLiイオン2次電池を調達するだけでなく,子会社であるプライムアースEVエナジー(PEVE)でLiイオン2次電池を量産することを表明した。

 一方,Renault-日産グループのフランスRenault社は,日産自動車とNECの合弁会社であるオートモーティブエナジーサプライ(AESC)からLiイオン2次電池を全量調達するとされてきたが,韓国LG Chem, Ltd.からも供給を受ける。

 同様の動きは他にもある。ジーエス・ユアサ コーポレーション(GSユアサ)や三菱商事と,電池の合弁会社であるリチウムエナジー ジャパンを設立している三菱自動車は,商用タイプの電気自動車(EV)に東芝のLiイオン2次電池を採用する方針を明らかにしている。

 このように,大手自動車メーカーが車載用Liイオン2次電池を2社以上から調達する方針を加速させている背景には,電動車両の普及前にもかかわらず,車載用Liイオン2次電池の価格が急速に低下していることがある。

 大きな要因は二つある。一つはEVやプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)の市場導入が急速に進んできたこと。もう一つは,LG Chem社の価格破壊である。

『日経エレクトロニクス』2011年3月7日号より一部掲載

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出典:解説
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