日本の大手電機・精密機器メーカーが,コストで攻める海外企業に対抗するためには,部材の調達業務の見直しが欠かせない。これまでも社内に限れば改善を続けてきた。これから変えるべきは,社外である。他社との共同調達や調査業務の外部委託が,電機・精密機器メーカーの調達部門に,真に価値の高い業務遂行をもたらす。(大槻 智洋=本誌)

坂本 太郎
ジェイチップ 代表取締役 社長

相対的な国際競争力が低下

 部材をいかに安く,適量を適時に購入するか。こうした調達の巧拙が,日本の電機・精密機器メーカーの商品競争力をますます左右するようになっている。 ASSP(特定用途向けLSI)や設計・製造受託企業(EMS/ODM)の利用が普及した現在,どの企業も似たような部材を使っているためだ。他社との差異化には,「買い方」の見直しが重要である。

 調達の仕組みを変える必要性も高まっている。海外の企業に対して日本企業が持つ相対的な購買力が低下しているからだ。お家芸の一つと思われていたデジタル複合機(MFP:multi function printer)でさえ,2007年以降は出荷台数シェアの過半を海外勢が握るようになった。部材の購買金額シェアも,これに呼応して低下していると考えられる。

 日本勢とは逆に購買力が高まっている急先鋒は,台湾系EMS/ODMである。Quanta Computer Inc.(廣達)のように日本の大手電機メーカーを超える売上高を達成しそうな企業が増えている。こうした躍進は,主要顧客である欧米の大手メーカーが,設計技術者を含む大胆な人員整理を実施した結果である。

 欧米メーカーが部材選択を含むハードウエア設計のほとんどをEMS/ODMに任せた結果,EMS/ODMは仮想的に顧客の調達活動を統合するようになってきた。例えば台湾Hon Hai Precision Industry Co., Ltd.(鴻海,Foxconn)は,フィンランドNokia Corp.と米Motorola Inc.の携帯電話機用部材を,両社に代わって購買している。

『日経エレクトロニクス』2009年9月21日号より一部掲載


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出典:寄稿
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