ヤギの角でケーブルが損傷

 こうした対策を打ったことで、2年目には、家畜の飼育に関して、ほぼ軌道に乗ってきたという。一方で、家畜が発電設備を痛めるなどの影響はないのだろうか。

 高所に上る習性のあるヤギは、太陽光パネルの上に登ってしまう恐れがよく指摘される。この点、「やはり、ヤギはパネルに上ってしまうことはあります」と須賀課長代理は言う。

図9●左がザーネン種のヤギ、右がトカラヤギ(出所:日経BP)
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図10●ケーブルラックからパネルに上る。ラック上の黒い粒はヤギの糞(出所:日経BP)
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図11●パネル裏のケーブルのたるみをテープで留めた(出所:日経BP)
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 ヤギは、トカラヤギとザーネン種の2種を導入した。トカラヤギは体重20~35kgと小型で淡褐色、丈夫で粗食にも耐えるのが特徴だ。ザーネン種は体重60~90kgと大型で白く、日本で最も多く飼われている。いずれも角がある。当初、この2種を10頭、放牧して飼育し、環境にあったものを残した結果、トカラヤギ3頭、ザーネン種1頭になったという(図9)。

 環境に合ったものを残したとはいえ、パネルに上ってしまうのは、発電所の設計に原因がある。もともと「久兵衛2号」は、建設中に家畜の導入を決めたため、ヤギを想定して設計していない。パネルの設置高を1mとし、ケーブルラックを地面から50cm程度上げて設置したことで、ラックからパネルの落差は50cmほどしかない。実際、ヤギはラックからパネルに上ってしまうことが多いという(図10)。

 「ただ、パネルに上ることによる表面の傷は発電に支障ない程度で、むしろ問題になったのは、ヤギの角がパネルの裏側のケーブルに引っ掛かり、接続部が外れてしまうことだった」と、須賀課長代理は打ち明ける。そこで、パネル裏のケーブルで、たるみ(余裕)の大きい箇所は、テープでパネル裏に固定して、角に引っ掛からないようにした(図11)。また、今後は小柄なトカラヤギを主体にしていく方針と言う。