拡大期に入った「ゆびさきから健康チェック」

2015/07/01 00:00
大下 淳一=日経デジタルヘルス

 店頭で数滴の血液を自己採血するだけで、生活習慣病などのチェックを手軽に受けられる――。そんなサービスを提供するドラッグストアや薬局が急増している。

第3回 健康長寿ループの会に登壇した健康ライフコンパスの佐藤龍平氏
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 例えば、生命科学インスティテュートグループの健康ライフコンパスが提供する「じぶんからだクラブ」。生活習慣病関連の13項目をチェックできる。対応店舗は2015年6月中に全国で1000店舗を超える見通しで、「7月には1300店舗に達する」(健康ライフコンパス 代表取締役社長の佐藤龍平氏)(関連記事1同2)。

 背景には、自己採血による健康チェックが医師法や臨床検査技師法でどう扱われるかに関してのグレーゾーンが、2014年に解消されたことがある。じぶんからだクラブの場合、2014年1月に「グレーゾーン解消制度」を申請。同年2月に経済産業省と厚生労働省から回答を得て、法的解釈を明瞭にできた。その内容は「利用者が自身の指先から採血を行う行為は医業に該当しないため、医師法に違反するものではない」「採取した血液の遠心分離を店舗内で行うことは、医行為に該当せず、医師法および臨床検査技師法に違反するものではない」といったものだ。これにより、同サービスを2013年4月に始めてからそれまで、100店舗ほどで伸び悩んでいた対応店舗数が、2015年5月までには約800店舗へと拡大した。

 このほか2014年4月には、薬局などで行う血液検査などの簡易検査に関する要件を定めたガイドラインを厚労省が発表。同ガイドラインに沿って整備した「検体測定室」の届け出の受付を始めた。検体測定室の設置店舗数は、2015年1月末時点で1000店舗を突破した(関連記事3)。

検体測定室を検索できるアプリを用意

 2015年6月9日に東京大学で開催された「第3回 健康長寿ループの会」(主催:東大COI機構)には、健康ライフコンパスの佐藤氏が登壇。サービスの急成長に触れるとともに、さらなる拡大計画を語った。

 同社は2015年5月には、自宅で自己採血できる「おうちで簡単 血液検査 生活習慣病関連13項目」の提供を開始(関連記事4)。店頭でのサービスについては、従来はドラッグストアを主体としてきたが、今後は調剤薬局などドラッグストア以外への展開にも力を入れるとした。じぶんからだクラブと他社の健康関連サービスを連携させ、「検査と運動指導、食事指導を組み合わせたサービスを提供していく」(佐藤氏)。なお、じぶんからだクラブでは、導入店舗に検体測定室の届け出は要求されない。

第3回 健康長寿ループの会に登壇した筑波大学の矢作直也氏
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 今回の健康長寿ループの会には、検体測定室の制度が2014年4月に成立する以前から、自己採血による健康チェックに関する研究や提言を行ってきた筑波大学 医学医療系 内分泌代謝・糖尿病内科 准教授の矢作直也氏も登壇。検体測定室の制度が作られるまでの過程を示すとともに、「検体測定室連携協議会」を2015年5月に立ち上げたことを紹介した。

 同協議会は「ゆびさきから、健康チェック。」を標語に掲げ、検体測定室の設置店舗間の情報共有やガイドライン遵守に関する情報発信などを行う。現在、近隣にある検体測定室を簡単に検索できるスマートフォンアプリ「ゆびさきセルフ測定ナビ」を開発中で、「来月(7月)には公開したい」(矢作氏)とした。