国立大阪医療センター、救急治療を数秒間隔で記録できるER経過記録システムを開発(page 3)

2015/03/16 00:00
増田 克善=日経デジタルヘルス協力ライター

他部門のシステムとのデータ連携で事務作業の効率化を実現

 ER経過記録システムのもう1つの特徴は、医事会計システムへのデータ連携や電子カルテと連携した薬剤オーダーへのデータ引渡しができる点である。経過を入力した際に、種々の処置、薬剤投与など医事情報が発生する項目はカッコ付けで記載され、経過記載された列の右側に医事情報として自動的にリストアップされる仕組みだ。治療終了後に看護師は再度経過記載をもとに医事情報に漏れがないかをチェックし、必要に応じて処置や薬剤一覧から追加登録を行うことができる。チェック後のリストを保存すると医事会計システムにデータが渡され、医事部門のスタッフも経過記録を参照しながら一連の医事情報を再チェックでき、正確なレセプト処理が行われる。

 従来、手書きの経過記録票を見ながら医事情報を入力し、また、記録が不十分なために診療行為の実際を現場に頻繁に問い合わせながら医事情報を完成していた医事部門スタッフの業務負担は大幅に減り、出来高コストの正確な集計が可能になった。「救命救急入院はDPCによる請求であるため、記載漏れが請求に大きく影響することはありませんが、出来高点数をきちんと押さえておけるようになったことは経営上、重要です。従来、手書きの経過記録では細かな処置の記載漏れが見受けられ、正確な出来高を見逃すことがありました。」(上尾氏)という。

 一方、救急外来での薬剤投与は配置薬剤を使用するが、従来は看護師が手書きした伝票で薬剤部に補充を発注し、その伝票を基に電子カルテでオーダー処理を行うという手続きだった。「看護師による処方オーダー代行を医師が事後承認するというプロセスが明確でなく、手順を何とかしたいと考えていました。また、薬剤補充の伝票処理の煩雑さや、配置薬剤の在庫を薬剤部本体と一体管理することが難しいといった課題もありました」(上尾氏)といい、ER経過記録の医事情報連携の仕組みと同様に、薬剤投与記録データを転用して処方オーダー(薬剤発注)に利用する仕組みを実装した。

 ER経過記録上に記載された薬剤は自動的にリスト化して経過記録と並列して表示できる。記録担当看護師が経過記録と照合し使用薬剤をチェックした後にカルテ保存するとそのデータは医師のER診察記録用カードカルテに転送される。担当医は、この使用薬剤リストが指示した内容と齟齬がないかを確認したのち薬剤一括発行ボタンをクリックし正式に処方オーダー発行する。そのオーダーを基に薬剤部スタッフが毎朝、配置薬剤を補充する。同時に処方データは、医事会計システムへも転送される。

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