本記事は、日経WinPC2012年10月号に掲載した連載「PC技術興亡史」を再掲したものです。社名や肩書などは掲載時のものです。

 今回からテーマをメモリーに移す。メモリーは非常に多くの種類がある。半導体メモリーに限っても10種類以上ある(図1)。 第一に着目するのが揮発性だ。これは「電源を切ると中身が消えてしまう」メモリーである。一般にメモリーと聞いて思い浮かべるのはこちらだろう。低コストで高速動作が可能だ。SRAMはCPU内部のキャッシュあるいはレジスターとして、DRAMは主記憶メモリーとしてそれぞれ利用されている。

図1 半導体技術を使って実現したメモリーだけでも、多種多様な種類がある。PC用でなじみがあるのはメインメモリーに使うDRAMと、SSDに使うNAND型フラッシュメモリー、BIOSなどを格納するNOR型フラッシュメモリーだ。FeRAMやMRAMは、ポストDRAMとしても注目されている。ReRAMとともにNAND型フラッシュメモリーの置き換えが期待されている。
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 一方の不揮発性メモリーは、電源を切っても中身が消えない。最初の不揮発性メモリーは書き換え不可能なマスクROMだった。工場で生産するときに内容を書き込むと、以後は一切書き込めない。マスクROMは現在においても一番単価の安いメモリーだ。しかしROMの作成に数週間~数カ月かかる上に、量産開始後の内容変更ができないなど、さまざまな制約がある。

 これを多少改善したのが、ワンタイムプログラマブル(OTP:One Time Programmable)ROMで、現場で一度だけ書き込みが可能だ。外部から内容を改ざんされたりしない特徴を生かして、現在でも幅広く利用されている。

 不揮発性かつ書き換え可能なメモリーとしては、EPROM(Erasable ProgrammableROM)や電気的に内容が消去できるEEPROM(Electrical Erasable ProgrammableROM)が登場した。このEPROM/EEPROMは80年代から広く利用されてきた。90年代に入って次第にこれを置き換えたのがフラッシュメモリーである。こちらにはNOR型、NAND型という2種類の構造がある。特に大容量化が容易なNAND型は急速に普及した。

 しかし、NANDフラッシュメモリーは微細化に伴い急速に寿命が短くなるのが欠点。現在はフラッシュメモリーの代替品としてFeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリー)やMRAM(MagnetoresistiveRAM:磁気抵抗メモリー)、ReRAM(ResistanceRAM:抵抗変化型メモリー)、PCM(Phase Change Memory:相変化メモリー)といった多数の不揮発性メモリーが開発され、一部は量産されているが、まだ現在のフラッシュメモリーを代替するには至っていない

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