核融合発電技術が世界的に脚光を浴びている。太陽の中心で起こっている核融合現象と同種の反応でエネルギーを生み出し、発電につなげる“夢のエネルギー”だ(図1)。核融合発電を実用化できれば、世界のエネルギー事情が一変する可能性が高い。“燃料”は事実上無尽蔵にあり調達コストも低い。また、核反応の暴走が原理的になく、原子力発電に比べて過酷事故時の安全性が高い。さらに、炉が100年でほぼ安全になるなど、放射性廃棄物の管理が既存の原子力発電に比べて容易などの大きな強みがあるからだ。SF作品では、フリーエネルギー(無料で無尽蔵のエネルギー)を実現する技術として核融合がしばしば“採用”されてきた。

図1 発電で主に利用する核融合反応とその他の反応の違いを示した。核融合発電は、一般的な水素原子の原子核(陽子)に中性子が1個付いた重水素(D)と、2個付いた3重水素(トリチウムとも呼ぶ)の原子核が融合し、ヘリウム(He)などより重い元素を作り出す際に生まれるエネルギーを利用する。トリチウムは、反応からは直接生まれず、炉外から供給する必要があるため、核反応の暴走は原理的に起こらない。一方、現状の原子力発電は、ウランなど重元素の原子核が分裂する(核分裂)際に大量のエネルギーを出すことを基にした技術である。核分裂で放出される中性子が次の核反応を起こし、暴走する可能性がある。一方、化学的な燃焼反応は、炭素など原子1個当たりの出力エネルギーが核反応の約100万分の1と低い。また、太陽中心で起こっている核融合反応は、地上では実現できない。
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