ソーシャルクラウドとは何か

 ソーシャルメディアの広がりは、コンシューマー市場向けクラウドを新たなステージに導こうとしている。Google、Apple、Microsoft、Amazonは、自らスマートデバイスを開発し、ネットを挟んでクラウドとスマートデバイスを結ぶ新しい垂直統合の試みを開始した。スマートデバイスを重視したこの試みは、利用者の囲い込みを狙ったクラウド時代の新たな競争戦略と考えられ、ソーシャルメディアの次世代の覇者を狙った動きと言える。

 一方、エンタープライズ市場向けクラウドも進化を遂げようとしている。ソーシャルメディアを利用した顧客接点の改善、スマートデバイスを利用したワークスタイル改善、クラウドサービスをベースとした新規事業の展開など、ビジネスに直結する段階に変わってきている。また、実用化が進んできたハイブリッドクラウドは、用途ごとにクラウドを選択しそれらを組み合わせて一つの企業システムを構成するアーキテクチャを提案し、企業におけるクラウド活用を促進し始めている。

図1-1●ソーシャルクラウドの全体像
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 このような新潮流が広がる中、友人同士を結ぶ気軽なコミュニケーションネットワークから始まったソーシャルメディアは、企業と消費者とをダイレクトに結ぶマーケティングツールへ、そして市民が協力して社会生活を変えるためのコミュニケーションインフラへとその影響力を強め始めている。テレビに代表される一方向性だった情報の流れは、このソーシャルメディアの登場により双方向性を基軸とした新たなステージに進化しようとしている。

 ソーシャルクラウドとは、ソーシャルメディアの特長である双方向性を、スマートシティ、スマートグリッド、医療クラウド、農業クラウド、防災クラウドなど、公共的に利用されるクラウド全体に適用し、社会全体の情報交流を促進するマルチクラウドのことである。このコンセプトは、地球環境、地域社会、個人生活に係わるすべての情報を双方向に結合して“社会知”を形成し、省エネ型で快適な社会生活を支える次世代の社会情報システムの総称と捉えることができる。

 この社会情報システムは、ユーザーサービスを提供するクラウドに他のクラウドがデータなどを提供する仕組みを必要としている。もう少し詳しく見ると、この仕組みは一つのシステムを複数のシステムがサポートする構造を持つもので、しかも利用者ニーズにより前面にでてくるシステムが切り替わる、双方向性に優れた柔軟な複合システムと捉えることができる。

 このシステムの実現に向けて、分散されて蓄積されたデータ・情報とアプリケーションを簡単に利用できる環境と、クラウドをまたがってコンピュータリソースを適切に再利用することのできる環境を用意する必要がある。

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