「太陽のめぐみ基金」を創設

 その地域貢献内容とは、メガソーラーを望める展望台を建設し、環境教育などの場として活用しやすくすること(図3)。発電事業を行うSPCの本社を潮来市に置き、法人市民税を潮来市に納めること。そして、隣接する道の駅の屋根上に太陽光パネルを設置するとともに、その発電電力を蓄える可動式蓄電池を併設して、道の駅の防災拠点化に貢献すること──などだ。「こうしたきめ細かな地域への貢献策は、大手企業にはできない」と木南社長は言う。

図3●展望台は発電事業者の水郷潮来ソーラーが寄付した
(出所:日経BP)
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図4●竣工式では、木南社長から市内の学校長に100万円の目録を贈呈
(出所:日経BP)
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 事業者として選定された後も、水郷潮来ソーラーの木南社長は潮来市からの要望を聞きつつ、追加的な貢献策を検討してきた。その1つが、「太陽のめぐみ基金」だ。これはメガソーラー事業の収益の一部を地域貢献のために寄付するものだ。まず、2月1日の竣工式で、木南社長が潮来市の小中学校長に100万円の目録を手渡した(図4)。潮来市内には6つの小学校と、4つの中学校があり、各校に10万円を寄付した。今後、この基金をどんな形で運営し、発展させていくか、現在、潮来市と協議している。

 水郷潮来ソーラー発電所を建設した場所は、「道の駅いたこ周辺地区」と呼ばれ、市が農地を買収し始めて以来、20年以上、その有効利用を巡って議論され続け、その間、24.5haもの土地が遊休地となっていた。もともとは、1987年に減反政策と地域振興を結びつけるために、農園を貸して使用料を得る観光農園構想に始まった。その後、数回の計画変更を経て、潮来水郷楽園構想がまとまり、開発許可を得たものの、全体で52億円という膨大な事業費が市の財政に与える影響が大きいこともあり、首長の交代とともに凍結された。

 1998年には、道の駅整備構想が計画され、約2haを事業地として、建設が動き出した。それ以外の土地についても、工場を誘致するために、盛り土工事を行うなど、整備してきた。だが、生産の海外移転が進むなか、目論見通りに工場を誘致できなかった。潮来市はこれまで、道の駅いたこ周辺地区に対して、用地の取得費や設計委託料、築堤の工事費などに約25億円を投資してきた。加えて、買収し切れなかった民有地の借地料や草刈り費用など毎年600万円の維持費がかかっている。