【第3回】デジタルヘルスケア利用者の裾野拡大には美容が鍵

2012/11/08 00:00
高橋 祥、田平 博嗣=U'eyes Design、笹木 雄剛=テクノアソシエーツ

 デジタルヘルスケア市場のけん引役として女性への期待が高まる中、動機づけの起爆剤となるのが「美容」である。例えば、スキンケアにおいては、毎日の化粧を通じて肌の状態をチェックしており、その変化に非常に敏感。男性なら気にならないわずかなシミやシワを消すためにケアする。一方、肌の状態は目で見たり、手で触れたりすることで確認することが可能で、スキンケア効果は見た目にも反映されるため、メリットを実感しやすい。体感性が高いことから継続しやすく、あらゆる年代で関心が高いことからも、ヘルスケア産業を拡大させる鍵と言えそうだ。

女性ニーズをつかみ、美容を入口に市場拡大

図1●市場規模比較
各発表数値からU'eyes Designが作成、市場規模は各発表数値からU'eyes Designが合算(テクノアソシエーツ「デジタルヘルスケア、消費者価値に見るビジネス機会~疾病予防・抗加齢編~」より)
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 「病気の予防」は、“なるかもしれないことに対応するための投資”という印象が強く、日々の暮らしの中で後回しにされやすい。また病気や疾患への対処というと、どうしてもネガティブな印象になり、行為の中に楽しみを見い出しにくい。

 「今よりも、もっと幸福になるための投資」という見せ方を変えることで、誰もが関与したくなるポジティブな印象を与えることができる。この代表例が「美容」である。「より美しく、より幸せに!」というキーワードを入口に、各年代の関心に適したヘルスケア・サービスを提供することで、予防意識を高めることが可能になると考えられる。

 市場規模の側面からも、健康管理の市場規模(約4兆円)に加えて、美容領域を含めることで、全体で9兆円の市場規模に膨らむ(図1)。

リテラシーの高さも女性に軍配

 ヘルスケアのキーワードに対するリテラシーも、男性より女性の方が総じて高い。例えば、冷え、肩凝り、腰痛、月経痛、便秘、眼の疲れ、肌荒れなど、さまざまな不調に関連する「めぐり」は、男性の70%以上が「何のことか分からない」とする一方、女性は半数以上が「具体的方法が分かる」「聞いたことがある」としている。

 また年代別に見ると、20歳代女性は、その他の年代と比べてリテラシーが低い傾向が見られる。例えば、「内外美容」では、20歳代が32%(「具体的方法が分かる」「聞いたことがある」)に対し、30歳代では60%(同)となる。30歳代に入り、肌に対する悩みやトラブルが顕在化し、外側から機能性化粧品を塗る従来のスキンケアだけでなく、食生活やサプリメントなど、体の内側からアプローチする必要性が高まるためと推察できる。

 男女ともにリテラシーが低かったのが「抗糖化」と「抗炎症」。いずれも女性では年齢が上がるとリテラシーが高まる傾向が見られるが、他のキーワードに比べると顕著に低い(図2)。すでに健康や美容系のメディアでは取り上げられていることから、今後の認知拡大が期待でき、これから消費者への普及が進むのではないだろうか。

図2●ヘルスケアに関するリテラシー『抗糖化』
(テクノアソシエーツ「デジタルヘルスケア、消費者価値に見るビジネス機会~疾病予防・抗加齢編~」より)
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