前回までの2回にわたって、災害発生時に事業を継続するための取り組み(事業継続マネジメント、BCM)について解説した。連載の最終回となる今回は、部品や原材料の供給中断リスクをはじめとするサプライチェーン(供給連鎖)に関するリスクを管理するための仕組み(サプライチェーン・リスクマネジメント、SCRM)について説明する。(Tech-On!)

SCRMの基本的な考え方
「経営者が主導し、継続的に管理」

 今回の震災では、サプライチェーンの上流にあるサプライヤーやグループ子会社が被災し、重要な原材料/部品/資材の供給が滞り、多くの業界で生産活動に影響が生じた。物流センターにおいても、自動倉庫内で製品の落下や位置ずれ、スタッカクレーンの停止などが発生し、製品や部品があっても出荷できないという事態に陥った。

 経済産業省が2011年4月に実施した調査では、原材料や部品などの供給中断リスクを軽減するための取り組みの重要性が強く示されていた。調達が困難になった理由として、「調達先企業の被災」と回答した企業は素材業種で88%、加工業種で82%、「調達先企業の調達先の被災」はそれぞれ42%と91%。「流通網の不全」は27%と18%、「計画停電」は35%と50%だった*6

*6 経済産業省が2011年4月に実施した「東日本大震災後の産業実態緊急調査」と「サプライチェーンへの影響調査」より(http://www.meti.go.jp/press/2011/04/20110426005/20110426005.html)。

 過去の震災でも、今回と同じようにサプライチェーンが途絶/混乱した。2004年10月の新潟県中越地震では、半導体メーカーが被災して電機メーカーなどに影響が及んだ。2007年7月の新潟県中越沖地震では、ピストンリング最大手の自動車部品メーカーが被災した影響により完成車メーカーの操業が停止した。

 サプライチェーンが途絶/混乱した事例は、震災だけではない。最近では、2010年4月に起きたアイスランドでの火山噴火の影響によって欧州広域で航空規制が敷かれ、多くの空港が閉鎖された。これにより、自動車メーカーや医薬品メーカーの部品調達に支障が出た。

 製造業では海外生産および海外調達が進んでおり、自然災害以外のリスクに起因したサプライチェーンの途絶/混乱リスクも顕在化してきている。これらのリスクを種類別に分類したのが図4である。

タイトル
図4●サプライチェーンに関するリスクの分類例
製品特性やサプライチェーン構造を考慮して体系的にリスクを特定・分析する。

この先は会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が12月末まで無料!