これまで4回にわたって,2011年1月18日に北京で開催された中国のカラー・テレビとFPDに関する業界研究の会議「2010年第4四半期中国電子信息産業経済運行およびカラー・テレビ業界研究発布会」(同会議の中国語サイト)の主な内容をレポートした。今回は,まとめとして,これまでの報告内容を補足しながら,筆者の視点で中国FPD産業の今後の方向を整理する。

 本連載の第3回で紹介した中国All View Consulting社(AVC:北京奥維諮詢)の総経理である喩亮星氏は,「第12次5カ年計画(十二五)」が完了する2015年には中国国内市場のFPDテレビ需要規模が6000万台に達すると述べた(第3回の記事)。その背景には,経済発展と共に着実に増加する家庭収入があり,さらには新婚世帯数の増加がある。

 また,第4回の記事では,中国電子視像行業協会の孫新果氏から,5件の「高世代ライン」プロジェクトが中国政府によって承認されたことを紹介した(第4回の記事)。高世代ラインとは,7.5世代以上の大型基板ラインを指す。中国国内で積極的に進められている高世代ライン投資の背景には,拡大する中国FPDテレビ市場に対して,その市場を支えていくためのFPDテレビ製造のサプライ・チェーンを「自国の中に建設する」という中国政府の強い支援がある(工業和信息部 電子信息司 総経済師の周子学氏の講演を取り上げた,第2回の記事)。

 大型パネル製造に対する積極的な投資の結果,第12次5カ年計画が完了する2015年には,テレビ用パネルの調達からセット製造までを中国国内でまかなうサプライ・チェーンが完成することになる。筆者が1年程前に予想した「2015年にはFPD産業が大きく変わる」(Tech-On!関連記事)という状況がまさに現実となることが,今回の北京での会議の内容からはっきりと見えてきた。それは,パネル製造で自国内の需要をまかなうだけではなく,テレビ・セットを含めたFPD産業全体のサプライ・チェーンで力を付け,世界市場に向けて大きく進出していく姿である。中国のセット・メーカーも,ブランド構築に向けて既に動き出している。

 以降では,AVC社の喩氏の講演内容を詳しく紹介しながら,市場と製造の両面で大きく拡大していく中国FPDテレビ産業の姿を具体的に見ていく。

世帯収入の着実な増加が,世帯当たりのテレビ保有台数増加を牽引

 AVC社の喩氏は,まず中国におけるFPDテレビ市場が継続的に成長を続ける背景を紹介した。喩氏が示したデータによると,都市部の世帯収入に対して農村部の世帯は半分程度ではあるが,経済成長に伴って両者共に着実に伸びている。2015年には,都市部では一人当たり3万人民元,農村部では9000人民元になると予想される。経済力が高まるに伴い,100世帯当たりのカラー・テレビ保有台数も増加する。2015年には都市部で156台,農村部で119台,全国平均でも141台となる見込みである(図1)。

図1 着実に増加する世帯収入とカラー・テレビ保有台数
世帯当たりの収入(左下)と100世帯当たりのカラー・テレビ保有台数(右下)。共にグラフの上の曲線が都市部,下の曲線が農村部の推移を示している。(All View Consulting社 総経理の喩亮星氏の発表資料)
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