(前回から続く)

 自動車事故発生前後の情報を記録するシステムとして、日本では映像を記録するドライブレコーダに注目が集まっているが、米国では車両制御の数値データを記録するEDR(イベント・データ・レコーダ)と呼ばれる装置の搭載が進んでいる。

 ドライブレコーダは現在後付け商品であることから国内での普及台数は3~4万台にとどまっているのに対して、EDRは自動車メーカーが自ら搭載する純正品であるため搭載率は高い。

 NHTSA(米高速道路交通安全局)によると米国における2005年モデルの乗用車への搭載率は64%。調査会社の米TRG(Telematics Research Group)社の調べでは、米国での2004年モデルでのEDRの搭載率は、GMブランドで100%(469万台)、Fordブランドで95%(316万台)、 Chryslerブランドで約50%(122万台)となり、主要ブランドで50%を越えている。

 また、米国で発売している日本車についても、トヨタ自動車が95%(187万台)、ホンダが約80%(96万台)、日産自動車が約70%(59万台)、加えてドイツVolkswagen社も約70%(24万台)に既に搭載しており、外国車も搭載率は高いとTRG社は指摘する。「日本メーカーは米国で多くの車両にEDRを搭載しているので同じモデルであれば日本でも搭載している可能性は高い」(自動車事故処理関係者)。近いうちに「国内でも数百万台レベルで普及する可能性がある」(警察庁科学警察研究所交通科学部長の石川博敏氏)と見る向きもある。

メーカー主導で搭載進む

 EDRは、エアバッグECU(電子制御ユニット)のメモリーにエアバッグ作動前後の車両情報を記録するシステム。そもそもは、自動車メーカーがPL法(製造物責任法)に対応するため、エアバッグの作動による負傷などで責任を問われたときにエアバッグが正しく作動していたことを証明する手段として搭載を開始した。

 また、自動車メーカー担当者が事故発生時に事故現場に出向いてEDRを回収することで、自動車メーカー内での安全システム開発に役立てようとの考えもあった。

 EDRが記録する項目は、加速度や速度変化はもちろんのこと、アクセルペダルやブレーキペダルの踏み込み量、エンジンスロットル開度などがある(表)。エアバッグの作動状況についても、運転席と助手席それぞれの作動時間や乗員のシート位置や体格なども同時に検出する。これらのデータを解析することで事故発生前後のドライバーの動作やシステムの作動状態を把握しやすくなる。

表 EDR(Event Data Recorder)に記録されている主なデータ項目
現状では、米GM社や米Ford Motor社などメーカーによって記録項目が異なる。
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