「テストやレビューをしっかりやれ」
「プロジェクト・マネジメントをキッチリ徹底しろ」
今のソフトウエア開発では,誰もが品質確保の確かさを
「キッチリ」としか表現できない面がある。
エンジニアリングの実践に程遠いこうした現状から脱却し
ハードウエアと同じ地位を持つ工業製品として
ソフトウエア開発を昇華させる必要がある。
そのための道具として「形式的手法」を知り,見直すべき時が来た。

 2001年に相次いだ携帯電話機のソフトウエア不具合による回収騒動。相当数の携帯電話機メーカーが出荷済みの端末にソフトウエアの欠陥があることを公表し,数万~数十万規模の製品回収を実施した1)

 この騒動は電機業界に初めてソフトウエア品質の重要さを,身をもって気付かせた出来事だった(図1)。これを契機に,電機業界はソフトウエア品質の向上に正面から向き合うようになる。プロジェクト管理の導入,開発プロセスの改善活動,形骸化していた設計レビューの徹底,納期に追われ省略しがちだった単体テストの実施,バグ曲線など統計的な品質管理指標の導入,構成管理,組み込みLinuxなど高機能OSの導入2),再利用のためのプラットフォーム構築3)…。どれもソフトウエア品質を高めるために欠かせない基礎的な取り組みだ。多くの企業は必死である。

図1 「管理を強化さえすればソフトウエア品質は上がる」という幻想が広がった
2001年に相次いだ携帯電話機のソフトウエア不具合による回収騒動をキッカケに,電機業界においてもソフトウエア品質の重要性が広く意識されるようになった。こうした中,管理を徹底したり,CMMIのレベル認定さえ取ったりすれば,ソフトウエアの品質が向上するという幻想も広がった。
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 それなのに今,ソフトウエア開発において多くのメーカーが口をそろえて指摘する問題が,以前にも増して顕在化している。「手戻り」の発生だ。

水面下で頻発する手戻り

 手戻りとは,あらかた作り終えたソフトウエアに下流工程になって欠陥が見つかり,大幅な設計変更を迫られることである。数カ月間,多大なコストと人員をかけて作った成果の一部をご破算にしなければならない。

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