電子技術には頼らない、“耳カバー”が聴こえ補助

2015/05/28 10:08
大下 淳一=日経デジタルヘルス
出展した「私のミミ」
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中日ドラゴンズのマスコット「ドアラ」とのコラボ商品も発売
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私のミミについて講演する中部デザイン研究所の渡辺氏
私のミミについて講演する中部デザイン研究所の渡辺氏
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 発泡ウレタン製の“耳カバー”を耳に掛けるだけ――。電子式補聴器の目覚ましい進化に背をそむけるかのように、そんなアプローチで高齢者の聴覚を補う製品が2015年7月に発売される。中部デザイン研究所(名古屋市)が開発した補聴耳カバー「私のミミ」がそれだ。電子式補聴器を使う手前の、聴こえ具合が気になり始めた高齢者のテレビ視聴や室内利用に向ける。

 東急ハンズなどでの販売を予定しており、1980円(税抜)と安価。「第18回 国際福祉健康産業展 ウェルフェア2015」(2015年5月21~23日、名古屋市国際展示場)に出展した。

 私のミミは、防寒用の耳あてやヘッドホンに似た形状をしており、電源は使わず耳に掛けるだけで使える。耳を覆うことで生じる音の共鳴現象を利用し、高齢者でも聴力が残存する1800~2000Hzの音を強調する仕組みだ。名古屋工業大学で実施した音響解析では、正面方向からの音に対して14dB、全方向平均で11dBの強調効果(音圧増加)を確認した。重さは片耳分で約13g。

 人間の聴力は一般に、60歳を過ぎたあたりから2000Hz以上の高音に対して顕著に衰える。難聴は「認知症とも因果関係があるとされ、聴こえが悪くなると疎外感の要因となって引きこもりを誘発しやすい」(中部デザイン研究所 代表取締役の渡辺俊生氏)。私のミミが強調する1800~2000Hzは、高齢者でも聴力がぎりぎり残存する周波数帯。失われた聴力を補うのではなく、残存聴力を生かすアプローチだ。使用した高齢者からは「家族と同じ音量でテレビを見られるようになった」などの声があがっているという。

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