欧州の液晶テレビ市場でSamsungに次ぐシェア

図6 Vestel社は欧州市場で2位の液晶テレビメーカー。OEM/ODMの事業と、「VESTEL」以外の自社ブランドを展開
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図7 Vestel社の輸出先は145カ国になった
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 Vestel社は1984年の創業で、1994年にZorluグループに入った。テレビから白物家電まで多彩な事業を展開し、連結売上高は50億米ドル。トルコからの輸出額合計のうちテレビでは85%、白物家電では29%を占める。同社の輸出額は30億米ドル。「欧州の液晶テレビ市場では、Samsung Electronics社に次ぐ地位を獲得しています」(Erdogan氏)と言う。欧州市場の占有率ではSamsung Electronics社の32.1%に次ぐ20.3%で第2位。次が19.5%のLG Electronics社だ(Vestel社調べ)。つい最近まで「世界140カ国に輸出」と言っていたが、ここにきてアフリカのジンバブエ、アジアのブータン、ミャンマー、南太平洋のミクロネシアが加わり、145カ国になった(図6、図7)。

 成長の秘密の1つがOEMだ。「われわれは、Vestelの名前でマーケティングはしません。欧州メーカーと日本メーカーの欧州向け液晶テレビをOEMとODMで作っています。日本は1社を除いて、すべてのテレビメーカーが重要な顧客です。でも韓国メーカーとは仕事をしていません。韓国は、事実上の輸入障壁が大きく、サンプルも簡単に送れないので、仕事になりません」(Erdogan氏)。

 もう1つが意外なことに“自社ブランド”でのマーケティングだ。自社ブランドといっても「VESTEL」の名前でなく、市場地域で力のあるブランドやメーカーを買収し、傘下に収める形態で成長を追求している。2006年に, 前年に経営破綻したスカンジナビア諸国で人気の「Finlux」ブランドの使用権を獲得。2008年には欧州とロシア地域で人気の白物ブランド「Vestfost」を買収。同年、ドイツの有名な「Telefunken」ブランドのスペイン、イタリア、ポルトガル地域での使用権を獲得。2011年に白物家電の「Atlantic」ブランドをイギリスで展開開始……と、話題は多い。

 このように既存メーカーに対するOEM/ODMに加え、その地域で伝統があり、確立した既存ブランドを自社ブランドとして、自らの裁量で戦略を遂行する両面作戦こそが、Vestel社の成長の秘密である。VESTELブランドを一から立ち上げると資金と時間が掛かる。そこで効率的に“他人ブランド”を活用するのである。

■変更履歴
記事掲載当初、Vestel社の輸出先について「150カ国になった」としていましたが、正しくは「145カ国になった」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。また、図7を追加いたしました。