医工連携「製販ドリブンモデル」開発物語(page 8)

医療機器産業への参入を成功させる

2015/08/21 00:00
福山 健=日医文化総研
出典: 「知遊」第24号,2015年7月発行 ,pp.48-59 (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

わずか1年半で新製品を開発

 柏野さんが製販ドリブンモデルの利点の1つとして挙げるのは、開発期間の短期化だ。

 医療機器の開発では、簡単なものでも3年~5年かかる。複雑で新規なものは5年~10年を要する場合も、珍しくはない。

 この点でも、第一医科は山形県の企業と協力して、1年半の期間で新製品を開発して話題となった。日経産業新聞は「耳検査器具にLED──第一医科 山形の企業と開発」との見出しで記事を掲載した。

「耳鼻咽喉科の医療機器大手、第一医科(東京・文京)は、山形の精密機械メーカーと協力し、発光ダイオード(LED)を光源に使った目の検査器具を開発した。患者の耳を照らしながら拡大視する『オトスコープ』と呼ばれる器具で、横に開いたスペースから別の器具を入れて鼓膜を切開したりできる。ものづくりの技術を持つ地方企業の力を医療機器に生かした事例で、1年半程度の短期間で製品化にこぎ着けた。

 処置具を入れられるタイプのものは少なく、第一医科は米国製の製品を輸入販売してきた。ただ品質のばらつきや光量不足が課題で、LED光源へのニーズが高まったのを機に自社開発を決めた。

 開発で提携したのはシュレッダーなどを手掛ける石沢製作所(山形県山辺町)。山形県産業技術振興機構から紹介を受けた企業で、新たに導入した3Dプリンターでさまざまなタイプの試作品を作成した。第一医科の担当者が試作品を医師に見せ、改良を繰り返した。

 新製品は新たな試みとしてスマートフォン(スマホ)を取り付ける撮影用アダプターも用意した。耳の穴の様子を画像で残せるほか、患者本人や家族に見せ、病状を理解してもらうのにも役立つ。

 価格は11万5000円で、10万円弱だった従来品よりやや高い。ただ従来は電球の交換が数カ月に1回必要で、5000円程度かかっていたのに比べると全体のコストは下がる。

 国内で年間200~300台の販売を目指すほか、海外展開も目指す」(日経産業新聞2015年1月16日)

 この開発でも、経産省中小企業庁から「ものづくり補助金」として約1000万円の支援を得ている。

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