医工連携「製販ドリブンモデル」開発物語(page 2)

医療機器産業への参入を成功させる

2015/08/21 00:00
福山 健=日医文化総研
出典: 「知遊」第24号,2015年7月発行 ,pp.48-59 (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

 同社は、耳、鼻、喉にかかわる製品開発、つまり、耳鼻咽喉科領域に特化した医療機器メーカーとして知られる。東京都文京区本郷に立地し、今年、創立60周年を迎えた。

 林社長は、現在44歳。慶應大学理工学部を卒業し同大学院でMBA(経営学修士)取得後、大手製薬会社に勤めていたが、創業者の父親が病に倒れたために後を継ぐべく入社して16年になる。

 近年、同社の製品開発には著しい特徴が見られる。

 それは、医療現場のニーズに応える機器を、全国各地のものづくり企業とマッチングして世に送り出す──いわゆる「医工連携」による製品開発において高い実績を上げていることだ。その契機となったのが、柏野聡彦・日本医工ものづくりコモンズ理事との出会いだ。

 日本医工ものづくりコモンズは、「ベッドサイドから医療ニーズを掘り起こす」を趣旨に設立された一般社団法人。理事長を務める北島政樹・国際医療福祉大学学長は、みずからの体験を交えて設立意義について、つぎのように述べている。

「私が1970年代に留学していました米国のマサチューセッツ総合病院では、近隣のマサチューセッツ工科大学と緊密に連携して、新しい医療を創造していました。まさに医工連携による成果です。残念ながらわが国では、医療分野と工学工業分野との連携が十分でなく、結果として日本の医療産業の規模は大きくありません。

 政府が進めている医療イノベーションを達成するためには、ベッドサイドから医療ニーズを掘り起こし、先端的な技術シーズとマッチングさせることが必要です。そこで、医学系と工学系の学会の連携により医療現場とものづくり現場とを融合するプラットフォームの形成を目的として、2009年11月に『日本医工ものづくりコモンズ』を設立し、これまで医工連携に関する活動を行ってまいりました」(理事長あいさつより)。

日本医工ものづくりコモンズが企画協力したセミナーのポスターの上段部分。
※ポスター下段の「カリキュラム編成者からのメッセージ」は、画面の大きさの都合上、省略させていただきました。(公益財団法人神奈川科学技術アカデミー主催「医療機器産業参入のための基礎」)©神奈川科学技術アカデミー

 コモンズとは「共有地」を意味する。学会連携の横断的ネットワークによる医学と工学、さらに産官学の情報共有地となり、将来この共有地から国際的に競争力を有する医療産業が創成されることをめざしている。

 41歳の若さで理事を務める柏野さんは、「コモンズ理念の体現者」とも評すべき人物だ。

 昨日は東へ今日は西へと日本全国を飛び回り、「医」の臨床現場と「工」のものづくり企業を結びつけ、そこに地域行政や産業支援機関などの支援を取りつけて公的資金を獲得し、これまで中小の医療機器メーカーには不可能と思われてきた開発テーマを、つぎつぎと始動させている。

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