2015/08/11 00:00
久保田 博南=ケイ・アンド・ケイジャパン 代表取締役社長(医工連携推進機構 理事)

 期待と不安を抱えたままでスタートした薬機法(医薬品医療機器等法)発効から8カ月あまりが経過した。大幅な規制緩和を期待した産業側からの視点でいうなら、それが現実問題として実感できていないというのが大方の見方だ。本稿では、一つの切り口として、医療機器規制の国際整合の面からの実情について記述しておきたい。

厚生労働省発表の歓迎すべき事例から

 「日本による医療機器の品質確認結果がインドで受け入れられるようになりました」――。

 2015年7月6日に厚生労働省のホームページで公表された報道発表だ。この発表のサブタイトルは、~日本の医療機器の輸出促進やインドの保健医療への貢献に期待~となっており、産官をあげて大歓迎であることは言うまでもない。

 かいつまんで言うならこうなる。インドではかねて日本の医療機器輸入に際し、ISO13485に関わる適合証明書を求めていた。ところが2015年7月1日より、PMDAや登録認証機関が実施した品質保証に関わる適合性調査の結果だけで、これに代替えできる処置がとられるようになったのだ。

 そうした経過に至るまでに、厚生労働省、PMDAをはじめとする両国の関係諸機関の並大抵ではない努力があったことは、行間の記述からも容易に推定できる。一業界関係者としても、非常に喜ばしい事例となったと感じている。

 本来、国際的な医療機器整合性に関しては、GHTF(Global Harmonization Task Force;医療機器規制国際整合化会議)を通して、前向きな調整活動が図られてきた。とはいえ、個別の関係国との相互理解が一気に合意されるような甘いものでない。

 よって、今回の事例がたとえインド1カ国との間で成立したものとはいえ、その意義の大きさは、賞賛されるべきある。引き続き、同様の事例が継続されることを期待したい。

だが、輸入国の立場となれば事情が逆転

 こうした好ましい事例を見るにつけ、果たして薬機法が諸外国の目にどう映るのかを検証してみたい。つまり、日本がインドの立場に立って見た場合にどうなのか、という視点を意味する。

 残念ながら、日本が輸入国となった場合の事情は、全く逆の現象が起きている、というよりその現象が継続しているというのが偽らざる現実だ。実は、前回のコラムでも指摘し、現実を直視してほしいとの要望を記述したのだが、今もってこの課題は業界の大きな足かせとなっている。

 繰り返すことになるが、わが国ではFDAやCEマークを全くといっていいほど参照しない。具体例で整理するとこうなる。薬機法では、「類似品」かどうかという基準をもとに、事細かな審査が実行されている。それは、「形」や「組合せ」とか「原理」や「構造」といったすべての項目での同一性や既存性が求められるのだ。この中の一つでも、認証範囲外と判断されるか、新規性と思しき事項が見つかれば、頑として受け付けてもらえない、というのが現実だ。「認証範囲」と称するあいまいな表現が使われ、その範囲内かどうかの判断は客観性からはほど遠い。

 この点は、国産品であっても同様だし、ましては輸入品となれば、さらに細かく厳しいチェックが行われる。同じ規制・承認・認証機関でありながら海外諸国に日本の独自法規に関わる整合性を求める一方、逆の立場に立ったら、厳格すぎるほどの規制をかける。どう見ても、同一の機関や関係者が実施しているとは考えられないような矛盾をはらむ。

 せっかく、諸外国に対して整合性を求めて良好な成果を生みつつあるなら、翻って、諸外国の立場を理解する努力もしてほしい。それによって好ましい協調性が生まれ、また時には好ましい競争を生み出す原動力となりうる。こうした関係を生み出す努力が日本の医療機器産業にとっても望ましい帰結につながると思うからだ。