『新医療立国論』の訴えに耳を(page 2)

2015/07/22 00:00
久保田 博南=ケイ・アンド・ケイジャパン 代表取締役社長(医工連携推進機構 理事)

必要なのは供給側での本質理解と規制側での現実直視

 日本の医療・福祉の分野でさらに展開すべきエリアは広い。その上で、すぐれた医療機器を供給できるものづくり企業が多く存在する。だが、欧米に劣るといわれて久しい日本の医療機器産業、一体何が問題なのか。

 端的な事例を挙げるなら、FDAやCEマークをとっている機器でありながら、日本の法律が頑として受け付けないような事例が現実として発生していること。

 また、本書の中で共著者の井上政昭氏(スカイネット 代表取締役)が、薬機法は日本独自の法律という点で独自の城を崩さないことを指摘している。それは、国際的には難解で説明のつかない「製造販売業」という業態、また、ISO13485でなく日本だけにしかないQMSという体制の要求などだ。

 供給側としては、医療機器といえども、かつての「薬事法」という薬の法律から出発しているという本質的な法規制であることを理解することが必要だろう。法律名が変わったくらいでは、本質に抜本的な改正が加わったなどと勘違いしないほうが賢明だ。その上で、何をどう対処するかの心構えが重要なのだ。

 医療機器開発側はもとより、本書を特に読んでほしいのは、医療機器規制・審査側の担当者である。本来なら、規制側からの説明や要望が詳細に語られる場もあっていいと思うのだが、実際には、医薬品医療機器等法(薬機法)と名を代え、別章にして解決努力をする、という説明程度に終始している。

 医療機器メーカーやものづくり企業が精いっぱい頑張っているのに、「新しい仕様」が入ることを頑として受け付けない現実が特に目につく。「医療機器」は「医薬品」と違って、全く同一仕様の類似品などありえない。逐一違いを指摘することによる、「開発の妨げ」が産業発展への多大な弊害となる。それがいかに大きいかという現実を認識してもらうためにも、ぜひとも読んでほしいと願っている。

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