「日本のものづくりが医療機器に反映されていない」は本当か?

2015/07/07 00:00
久保田 博南=ケイ・アンド・ケイジャパン 代表取締役社長(医工連携推進機構 理事)

 大枠でとらえるなら医療の現場で使用される医療機器と呼ぶべきだが、規制面からみれば非医療機器――。今回紹介する製品も、この範疇に属する。患者の治療や診断にも無関係という理由からである。

 患者の移送や搬送に便利な製品である「パステム」。手術現場などでの患者の移送に対してすぐれたアイデアが取り込まれている製品だ。

人手による“力仕事”の分野に切り込む

 「痒いところに手が届く」というたとえ話がある。パステムを見たとき、直感的にそう思った。

 下の写真がそのパステムで、異業種ともいうべき半導体製造装置などの精密機器を得意とする中堅企業、エーアンドエーが開発販売している。長年、ものづくりに専任してきた企業が医療・介護などの領域に参入を果たした一例といえる。

パステムの外観
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 パステムの導入契機となったのは、明らかに医療側からの強い要望だろう。というのは、こんなことができたらという現場からの声を「実現した」と受け取れるからだ。

 特に、手術後の患者を手術台から移送用ベッドに移す際の光景が目に浮かぶ。手術を行った医師や看護師が総出で患者を移動させる場面だ。手術部位に細心の注意を払いつつ、ゆっくりと丁寧に移し替えなければならない。ともすると5~6人が心を一つにして行う必要のある難作業である。

 医療の最新ハイテク技術ばかりが注目されるなかで、こうした人手による“力仕事”の分野は旧態然として何らの進歩も見られない。

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