「ソフトバンクのPepper(ペッパー)を借りられたから、何か面白いことをやってみないか」。ある日、デスクからの指令が下った。記者の頭に浮かんだのは、昨夏にヒト型ロボットのペッパーを見て喜んでいた5歳の娘の顔。よし、自分が作るアプリ(応用ソフト)で娘に喜んでもらおうじゃないか。ペッパーのアプリ開発に挑戦してみた。
(映像:日本経済新聞 映像報道部)

 「今度、ペッパーを家に連れてくるよ。何をしてもらいたい?」。こう尋ねると、娘は考え込んでから答えた。「うーん。そうだ、計算の問題を出してほしいな」。数に興味を持ち始め、簡単な計算ができるようになったことがうれしい時期だ。よし、これでいこう。

計算教えるアプリ 娘のために記者が開発

あいさつをプログラミング
[画像のクリックで拡大表示]

 ペッパーは6月20日に1台19万8000円(税抜き)で一般向け販売が始まったばかり。もちろんアプリを作った経験はない。2014年秋にソフトバンクの開発者向けイベントを取材し、開発用ソフトの概要を聞いた程度だ。果たしてできるだろうか。ここは「プロ」に頼るしかない。

 弟子入りしたのはソフト開発のイサナドットネット(東京・渋谷)。ペッパーのアプリを開発する二口俊介さんと堀田仁志さんの2人が先生だ。「作ってみたいのは、子供に計算問題を出して、答えが合っているかどうかを判定してくれるアプリです」。訪問前日にこう伝えておいた。ペッパーと人が双方向にやり取りできるようにしたいと考えた。

 6月某日、東京・渋谷にあるイサナドットネットのオフィス。最初に先生に教えてもらったのは「コレグラフ」と呼ぶ専用開発ソフトの使い方だ。「姿勢を変える」「周囲にいる人を見る」「話しかける」という動きを定めた「ボックス」を画面上に置き、線でつなぎ合わせて、連続した動きを実現する。

 さっそくペッパーを動かしてみた。無線LANでパソコンとつなぐとペッパーに指示を送れる。二口先生が試しに数個のボックスを1分足らずで並べた途端、ペッパーが首を動かして記者の顔を見つめ、身ぶりを交えながら「こんにちは」と話しかけてきた。「こんなに簡単にロボットを動かせるのか……」

 「あれ、途中で止まるな。この線をこっちにつないでみるか」。インターネット上にある初心者向け教材を参考にしながらプログラム作りの基本を学ぶだけで、その日は終わった。想像していたほど計算問題アプリを開発するのは簡単ではない。調子に乗って「開発の難しさや苦労も体験してみたいんです」と言ってしまったのを後悔したのはいうまでもない。3日後に再び訪問するまでに作れるのだろうか。不安が募る。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!