川口 そう。今、熱の問題はカネになりにくいんだろうな。「断熱ハウス」を売るよりも、太陽光発電を売った方が華々しいし。それは、ハイブリッドカーや水素自動車も同じ理屈で、何でもキラーアプリっぽいものを売りたいんだよね。何か理性ではない、売らんかなという側面があって、議論がそちらに引っ張られてしまう。

山本 恐らく、日本で熱が浸透しなかった理由は地震なので、難しいでしょうね。熱配線が途切れてしまうと、復旧が大変というような理由でやらないらしいです。例えば、ロシアでは山ほど地下熱配線があります。ロシアの工事は雑なので、そこら中で湯が吹き出ていたりしますけど(笑)。

 ああいうのを見てしまうと、日本の熱配線は住む地域を限定しなければならないなど、別の事情がどんどん発生しそうです。山がちなので、高いところに湯が届かないとか。そういう理由で全然普及しないですよね。

(写真:加藤 康)
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川口 知り合いになったドイツのおじさんがドイツから断熱材を取り寄せて、壁紙を張る糊までこだわって、気に入った都心の一戸建ての中古民家を断熱したんです。気密テストまでやって。日本メーカーのスイッチボックスだと空気が漏れるので、それもドイツから輸入した。

 そしたら、夏に家全体がエアコン1台で快適に過ごせるようになったんですよ。日本人は、どれだけ熱を無駄にしているんだという話になりましたね。

今井 日本人は、そこに気が付かないですべての部屋にエアコンを取り付けて…。

川口 「気が付かない」のか、「気付かせたくない人たちがたくさんいる」のか。

今井 その意味では、水素に変換して貯蔵するというのは。

川口 最後の手段だよね。そこまで困っているのかという状態になったときの。

今井 ほかにやるべきことがもっとあるでしょうと。

川口 熱だけでもいろいろとやることがあって、アナログ技術を積み上げるだけでかなりのことができるはずです。