山本 環境負荷も低くて、全体のパフォーマンスも下がらないポイントはどこかという計算になりますね。

 例えば、これまでは多くの人が家庭用ゲーム機で電力をたくさん使って遊んでいました。それがストリーミングで配信するクラウドゲームになると、「ネットの総負荷だけで今まで以上のクオリティーでゲームを楽しめるようになります」という見方があります。でも、それを実現するには、中央に相当でかいサーバーが必要ですよね。「本当に中央で処理したら最適なのか」という試算は大切です。

 流通企業は、物流を効率化するアルゴリズムを考えるときに同じような試算をします。これまでは地域ごとに集配センターをつくって分散処理していました。でも、効率はあまりよくならないんです。荷物を運んだトラックは帰りが空になるとどんなに頑張っても稼働率は50%にしかなりませんから。1カ所に集めて「ハブ&スポーク」をやるんじゃなくて、ネットワーク型にして無駄のない集配システムを構築するといった取り組みを始めているのですが、エネルギーもだいたい似たような経過をたどると思うんです。

川口 なるほど。ロジスティクスとエネルギーは同じなんだ。

今井 電力についても、同じように事前にシミュレーションできるはずだと。

(写真:加藤 康)
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山本 そもそも電力は非常に再現性の高い構造の連続なので、例えば気候などに基づく予測でほぼ需要が分かるわけですよ。

 例外は、非常事態ですよね。それを除けば、だいたい予測できる。リスクを限定するためのシステムを別に構築することもできます。

 ただ、ノードにぶら下がる蓄電池などのバッファがたくさん存在すると、予測に必要な変数が増えてしまいす。しかも、一つ一つが独立した変数で、何かあったとき、それらがどう動くのか予測できない。だから、電力会社は「やりたくない」というのが本音じゃないでしょうか。実際のところは。

川口 今回の特集は、「蓄エネ」であって、「蓄電」ではないんだよね。

今井 そうです。

川口 電気は、エネルギーの中で格が一番高いと思うんです。その逆にいるのは「熱」なんですよ。位が一番低い(笑)。特に、40℃くらいの使い途がない熱、お風呂にはちょうどいいんだけどという感じの温度ですよね。その温度で熱の問題を熱で処理し切る前に、電気様にご登場いただくというような話も怪しい香りがしてくるんですよ。

 例えば、北欧のような寒い国では電気ではなくて、街単位で熱配線をやっています。

山本 セントラルヒーティングですね。

川口 ええ。だからね、畜エネでは熱が結構もったいないよね。電気様のような偉い人にご登場いただかなくても、熱配線のような仕組みで熱の問題を解決するような手段は、もっとありそうです。だって、NaS電池とか、超高級品でしょ。

山本 とっても高級ですよ。

川口 ねえ。台所のコンロで熱を出すためにNaS電池様を使うんだと…。太陽電池様で発電した後で、それを熱に使うんだよ。どう考えても…。

今井 熱でやりたいことは、熱でやればいいじゃんということですね。