ジェムコ日本経営コンサルティング事業部 本部長コンサルタントの古谷賢一氏
ジェムコ日本経営コンサルティング事業部 本部長コンサルタントの古谷賢一氏

 食品への異物混入やクルマの大規模リコールなど、日本の品質神話を揺るがす問題が相次いで発生している。日本企業の品質はどうなっているのか、品質関係の支援を数多く手掛けるジェムコ日本経営の古谷賢一氏聞いた。(聞き手は、吉田 勝=日経ものづくり)

――日本企業の品質問題に関する報道を目にすることが増えているように思います。日本企業の品質の現場はどうなっているのでしょうか。

 本当に品質問題に関する報道が多くなりましたね。その理由の1つには、以前に比べると消費者が大変敏感になったということが言えます。かつては異物が入っていても、せいぜいお店でクレームをつけるというレベルで終わっていました。それが、今ではソーシャルメディアの発達と共に、1つの問題が多くの消費者に共有されるようになりました。以前は、その場で個人のお客様への対応で済んでいたクレームもそうはいかなくなったのです。それだけに根本的な品質対策が求められるのですが、以前からの場当たり対応のまま、それができていない企業が意外に多いということです。

 また、自動車業界などでは、よく言われるように部材の標準化の進展で1つの部品不良が大規模リコールにつながるようになっています。しかし、不良原因を探っていくと設計品質の確保という点で、製造でのバラツキも含めた品質評価やデザインレビュー段階での品質リスクの適切な抽出ができていないのではないか思われる例も少なくありません。ISO/TSなどの品質管理システムが形式的に運用されていても、その中身が無いのではないかと疑われる例が散見されます。

――中身が無いとはどういうことでしょうか。

 例えば、品質管理システムの認証では、QC工程図が作成されているかといったチェックが行われます。しかし、大切なことは、そのQC工程図に本当に品質を作り込むための管理ポイントが抽出されているか、管理の方法が適切に明記されているかという点です。それぞれの製品によって製造プロセスは異なりますし、同じ製品でも生産数量や需要変動の有無などで生産方式は異なります。国内と海外とでも製造条件が変わります。

 一番大切なのは、それらそれぞれ異なる生産方式、製造条件の違いに対して適切に品質リスクを抽出し、適切な管理方法を決めて実施されているかということです。中身とは、正にそのことなのです。私は、日本の品質神話が崩れた原因の1つは、品質管理が形だけになり、品質を作り込む中身のレベルが低下していることにあるのではないかとみています。

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