「脳波1チャネル」で“眠り”に挑戦したベンチャー(page 2)

2015/04/28 00:00
久保田 博南=ケイ・アンド・ケイジャパン 代表取締役社長(医工連携推進機構 理事)

基礎理論実証への地道な努力が実る

 これまでの睡眠評価装置は、Polysomnography(睡眠ポリグラフィー)というターム自体が示すとおり、多項目のセンサー類を備えたかなり大がかりなシステムが主体となっている。

 「スリープスコープ」の最大の特徴は、「脳波1チャネル」だけで睡眠状態がモニタリング可能となったことの実証にある。被験者にとっての睡眠のモニタリングのために、数多くのセンサー類を装着するとなっては、睡眠そのものの阻害にもなりかねず、測定目的に悖る方法といえる。この点に関していうなら、スリープスコープの大きな利点がここにある。

 下図は、2014年度の日本睡眠学会で発表された睡眠効率の解析結果で、スリープスコープによる一般人921人のデータ解析結果の一例を示す。

睡眠効率の分析結果
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 このデータは、これまでおぼろげなから普通に認識されていた「加齢とともに睡眠効率が低くなる」という事象を、科学的なデータとして明らかにしたものだ。実は、脳波のモニタリングという観点からすれば、δ波(3Hz以下)に注目して麻酔深度を推定する装置が実在し、これは欧米のメーカが実用化している。全身麻酔下でよく出現するδ波を評価基準にしているというすぐれものでもある。

 スリープスコープの原点は、たぶんこの思想に着目したものかもしれない。というのは、睡眠中にも、δ波やθ波(4~7Hz)などの低周波の波が出現することがわかっている。ならば、そのδ波を標的にすればよい、という明確な狙いがあった。

 ある意味では、そのことを知っている多くの専門家がいるにもかかわらず、それを実用化しようという意欲がなかった、もっというなら、怠慢であったといわざるを得ない。それより、一ベンチャー企業の狙いとして、その標的に的中したといったほうがいい。

 次回、δ波解析結果とヘルスケア機器としての位置づけなどについて記す。

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