「アトム保育器」開発物語 PART1(page 5)

世界で最も低い新生児死亡率の実現に寄与した

2015/04/24 00:00
福山 健=日医文化総研
出典: 「知遊」第19号,2013年1月発行 ,pp.52-63 (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

なぜ保育器が必要なのか

 五つ子誕生時から36年の歳月が流れた。

 五つ子の成長記録は、父親がNHKに勤めていた関係もあり、誕生から小学校入学までの六年間はNHKでドキュメンタリー番組が組まれ毎年放映されていたが、山下家からの報道自粛要請もあって控えられた。その後、ネット上で次女が東大に入ったという情報を見かけたことがあるが、近況が話題に上ることはない。思えば五つ子たちも30代半ばに達している。成長を記録される年齢ではない。

 鹿児島市立病院で五つ子が誕生した当時、鹿児島県は県内の新生児死亡率が全国でいちばん高いという不名誉な記録を保持していた。ところが、五つ子誕生を契機に大変革を遂げる。1978年には日本初の周産期医療センターが市立病院に設立され、1996年には全国トップレベルの「子供を安全に生める県」に変貌し、「周産期医療は鹿児島に学べ」といわれるほどになっている。

 アトムの保育器は五つ子誕生時にはすでに国内トップブランドの地位にあったが、パトカー先導などで注目された後、やはり大きな進化を遂げる。

 保育器の進化を理解するには、保育器の基本的な機能について知っておく必要がある。

保育器の変遷
写真:日本医療機器産業連合会
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