スマートフォンや家電はもちろん、自動車、産業機器、ロボットなどでも、半導体や液晶といった電子デバイスが大量に使われるようになってきました。さまざまな機器の高度化、電子化が進み、電子デバイスの使用量が増加の一途をたどる中で、電子デバイスの作り手の製造技術者はもちろん、使い手である読者の皆様にも是非知っておいてほしいことがあります。

 それは、完成したデバイスは軽薄短小で省エネルギーになっていますが、製造面では大きな課題があることです。現在の技術では資源やエネルギーの無駄な消費が多く、このままでは資源の高騰や地球環境への悪影響が顕著になり、デバイスの供給が立ち行かなくなる危険性があります。この問題の解決策として筆者が提案するのが「グリーンプロセス」です。従来の真空技術やフォトリソグラフィー技術を駆使した方法に取って代わる新しい製造技術です。

 このコラムでは、「グリーンプロセスを目指す装置・部材」と題して月1回で12回の連載を始めます(毎月20日に掲載予定)。取り上げるデバイスは、薄膜トランジスタ(TFT)、フラットパネルディスプレー(FPD)およびタッチパネルです。グリーンプロセスとして、資源の有効利用と環境保全の観点から、脱真空、脱フォトリソグラフィーを基本に紹介します。そして、究極の製造技術としての「一人でも製造業」にも触れる予定です。

鵜飼 育弘(うかい やすひろ)
Ukai Display Device Institute 代表
1968年、ホシデン入社。トップゲート型アモルファスSi TFT液晶パネルの研究開発および事業化に従事。1999年、ソニー入社。低温多結晶Si(LTPS)TFT液晶パネルの研究開発および事業化に従事。2004年、TFT液晶パネル部材にインセル化を学業界に提唱、事業化を推進。2008年、ソニー退職。「薄膜トランジスタ技術のすべて」など、執筆書籍多数。九州大学大学院 非常勤講師、大阪市立大学大学院 非常勤講師。工学博士(東京工業大学)。