設計者は固定費を見よ

 それでは、変動費と固定費はどちらが「もうかる」のだろうか。平たくいえば、購入品と保有設備ではどちらがもうけを生み出しているのか。以下の図を見てほしい。

製造業がもうけを生み出すポイント
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 基本的に、材料や部品といった購入品(変動費)はもうからないと考えた方がよいだろう。お客様から頂いたお金(売り上げ)を購入品の代金として外部に支払うので、ほとんど手元に残らないのだ。ただし、変動費にはリスクが小さいという側面もある。売れなかったら、買わなければいいからである。

 すなわち、もうけは「固定費からしか生まれない」と言っても過言ではない。設備/治具/技術をどれだけ有効活用し、使い倒せるかにかかっているのである。これらは、同じものを使えば使うほどもうけとなる。ただし、固定費は製品が売れるかどうかにかかわらず、先行的に投資しなければならないので、リスクは大きい。

 設計で重要なポイントは、ここからだ。製造業は、前述の通り「固定費回収モデル」であり、もうけが生まれる源泉は固定費だけである。そう考えると、設計者は固定費をマネジメントしなければならない。

 固定費マネジメントとは、設備/治具/技術を変えないようにすることで、固定費の増加を防ぐ取り組みである。ところが、多くの設計者は実際には変動費ばかりを見ている。製品の価値を高めるには、性能を上げたり新技術を採用したりする必要があるので、変動費に意識が向かうこと自体は仕方ない。問題は、その過程で固定費にも注意を払っているかどうかである。どうすれば設備改修が不要になるか、新しい治具を造らずに済むか、あるいは現場の作業が増えないかといったことを常に意識する必要がある。製品価値向上と固定費抑制の両立こそが設計に求められているのだ。