ロボット産業は、将来の我が国の基幹産業の一つとして成長することが期待されています。特許庁の「平成25年度特許出願技術動向調査」では、ロボットに関する技術について市場動向や特許動向などを調査しました。本調査では、以下の図1に示すとおり、日本企業が高い優位性を持っているとされる「産業用ロボット」と、今後大きなビジネス発展が期待される「サービスロボット」を主な調査対象としています。

 本稿では、調査結果のうち、産業用ロボット分野から製造業向けロボットと、サービスロボット分野から、リハビリ/介護・福祉向けロボットについて、特許出願動向を紹介します(図1、特許庁による調査レポートの概要(PDF形式)はこちら)。

図1 技術俯瞰図
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 なお、本稿は、平成25年度の調査結果の紹介であるため、最新動向とは異なる可能性があります。

特許出願から各国の国際競争力をみるには?

 特許権は、特許権を取得した国・地域における出願人の事業活動を支援するものです。このため、出願人は現時点で事業を行っている、または事業を行う予定がある国・地域に特許出願を行います。つまり、国際競争力が高い出願人は、複数の国・地域に特許出願する傾向があります。従って、各国・地域籍の出願人が母国・地域以外の国・地域に、どれだけ特許出願をしているかを調べることで、国際競争力が高い出願人(企業等)を多く抱えている国・地域を推し量ることができます。

 また、特許出願には種々の費用(出願書面の作成費、海外出願する場合は現地語への翻訳費、代理人費等。)がかかるため、出願人は優先順位をつけて特許出願を行っています。このため、各国・地域への特許出願の件数の違いを調べることで、優先順位の高い国・地域を把握することができます。

日本には国際競争力が高い出願人が多い

 図2は、ロボットに関する技術について、日本、米国、欧州、中国、韓国、台湾の各国・地域籍出願人が、どの国・地域に出願しているかを示しています。図2に示されるように、どの国・地域の出願人も自国・地域への出願件数が一番多くなっています。また、母国・地域以外への出願件数が多い国籍・地域は順に、日本、欧州、米国、韓国、台湾、中国となっています。このことより、日本には国際競争力が高い出願人が多いと推測できます。

 また、図2からは、欧州国籍出願人の特許出願数は、日本よりも中国の方が多いことがわかります。この結果より、欧州国籍出願人は、日本市場よりも中国市場を重視しているのではないか、と予想できます。図2から得られる特許出願の件数情報だけでは、このような簡単な予想しかできません。しかし、以降の「産業用ロボット」、「サービスロボット(介護・福祉ロボット)」の項で説明するように、市場動向を組み合わせてみることで、より詳しく分析することができます。

図2 出願先国別-出願人国籍・地域出願件数(調査範囲は「ロボット」全体、出願先:日米欧中韓台、優先権主張年:2007~2011年)
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