山本 何をしたいのか明示されて、材料が与えられたら、動く人たちはたくさんいます。だから、そこからさらに一歩踏み出すためには、「何をしたら俺たちはみんなに夢を与えられるんだっけ?」ということを問い続けるマネジメントをしないとダメですよ。

(写真:加藤 康)
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 人間そのものを目指すか、人間が便利に暮らす方向を目指すか、健康なのか、もしくは勝利なのか。そういったもので人間の価値はだいたい規定されたうえで、そのための学問体系があり、ノウハウがあって、組織が作られて、人間が暮らしているわけです。

 だから、「僕らは何を目指しているんだっけ?」「そのためにどういうテクノロジーをやると、そういう目的に達するんだっけ?」「それを実装するためにどういう手段があるんだっけ?」「その手段の一つがエレクトロニクスですよ」という落とし込みがあれば、「じゃあ、何が俺たちは足りないのか」というところが分かるはずです。

今井 なるほど。 

山本 「人工知能が足りないんだったら、人工知能が分かるような学問分野を、自分たちでちゃんと補強していきましょう」「もしくは『なまもの』が足りないんだったら、『なまもの』が分かる人たちと一緒に手を組んで基礎的な数理設計をしていきましょう」「人間の気持ちが分からないんだったら、分かるようにするための仕組みも考えましょう」。

 こうしたことを一歩一歩やっているだけで、できることはたくさん見えてくるはずなんですよね。前に進むことをしないで、「何万台の量産がないと新しい企画は通せねえ」とか、「年度予算だとこれだけの売り上げが必要で、国内マーケットだけだと前年対比細るから海外進出がどうしても必須だ」とか…。持てる技術を使ってお客様と向き合う、という考え方が乏しいと、どうしても今ある仕事に固執してしまうわけです。

今井 うーん。そうなっちゃいますよね。