川口 人間やほかの生物の「ROI(投資対効果)」はものすごく高い。すごく練られたシステムで、そのうえ、理屈よりも答えが先に出てくる。その方が分かりやすいでしょう?

山本 「お、ここ、いいじゃん」と言いながらね。

川口 そう。「いいじゃん」ということを機械に判断させるのは、とてつもなく大変。だから、その部分は人間のいいところを取り出した方がいい。マシンアシストなんだよね。ママチャリの駆動系にはモーターアシストのハイブリッド機構が入ったわけだけど、ECUとドライバーの大脳もアシストハイブリッドってのが一番楽ちんです。

 それをコンピューターで可視化された世界に引き出してこないと、お金にならない。でも、観光や行政の人たちが料理の仕方でお金に変える方法はたくさんある。だから、最高のIoTセンサー兼プロセッサー、スマートセンサーとして人間を使っているシステムが優れたシステムなんです。

山本 熱いですね。

川口 でしょ?

山本 今の話を聞くと、熱いなって思います。 

川口 だから、そういうふうになっている世界を描いてくれたうえで、謙虚に「そのカメラは何ができるんだろうとか」「近距離通信には何ができるんだろう」と考えないと、傲慢になってしまう。必ずロードマップ至上主義になって。

山本 今、そこに陥りそうになっているところがたくさんありますよ。

山本 一郎(やまもと・いちろう)
1973年東京生まれ。1996年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。国際電気(現・日立国際電気)入社後、調査会社、外資系証券会社調査委託などを経て、2000年、IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作を行うイレギュラーズアンドパートナーズ株式会社を設立。ベンチャービジネスの設立や技術系企業の財務・資金調達など技術動向と金融市場、各種統計処理や分析業務に精通。また、対日投資向けコンサルティング、投資ファンドを設立。著書に『ネットビジネスの終わり (Voice select)』『投資情報のカラクリ』など多数。日本随一の時事・経済系ブロガーとしても知られ、産経デジタル『iRONNA』、ヤフーニュース『無縫地帯』、扶桑社『ハーバービジネスオンライン』など多くのウェブ媒体に時事解説を寄稿しており、有料メルマガ『人間迷路』を発行。2013年都市型高齢化検証プロジェクト『首都圏2030』を立ち上げ、現在東京大学客員研究員も務める。三児の父。(写真:加藤 康)
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川口 放っておくと、999人の側の方が人数が多いから、そういう人が部長にいたりして自分を正当化するために思考停止というか、思考が怠惰になって、「とりあえずこういうことを言っておきゃいいや」となってしまう。だって、999人の大多数の方に走った方が幸せという部分があるから。

 だけど、本当にやらなければならないことは、さまざまな分野の境界領域が見えてきた今、世界観を構築して、その一側面としてIoTがあるという話なんです。IoTのようなバズワードがいろいろとある中で、それに対してメタな境界領域がかぶさってきたという感じをどう翻訳できるかというところが大切になっています。もちろん、絶対にリアルとバーチャルの界面にはメカトロニクスが発生します。リアルがすべて仮想現実(VR)にならない限り。

山本 さまざまな分野の技術が融合した超実装部分ですよね。

川口 リアルな世界で生きていくつもりがあるんだったら、必ず必要になるよね(笑)。

山本 面白くなってきた。