「筒の中に、粉塵を模した小麦粉を入れます。紙でフタをして、この筒の外側に突き出た電極に、溶接の電源と同等の電圧をかけます。さて、どうなるでしょうか」。

 機会があって、表面処理メーカーの新東工業が豊川製作所(愛知県豊川市)内に設置している「技能安全研修センター」を見学しました。工場に存在する危険を体感することにより、安全への意識と知識を高く持つ人を育てるのが目的です。小麦粉を入れた装置は「粉塵爆発における危険体感装置」。数十秒後、大音響とともにフタが破れ、炎が噴き出しました。あらかじめ何となく分かってはいるのですが、実際に見ていて肝が冷えます(図1)。

図1●粉塵爆発の模擬装置
筒の中に粉を入れ、溶接用の電源をつなぐと、筒の中で爆発が起こる。
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 同センターの1階には、同様の「危険体感装置」が38種類も並んでいます。特徴的なのは、どれも想像上の事故ではなく、実際の事故を基にしたものであること。その事故の要素を抽出し、擬似的に再現するように、同社のベテラン技術者が手作りしたのだそうです。

 粉塵爆発の体感装置は、表面処理装置の中で修理などのために溶接をする状況を模擬したものです。同社の表面処理装置は、細かい球をワークに当てて強度を高めるショットピーニングや、外観を整えるサンドブラストなどの装置であるため、運転の結果として細かい粉が生じがちです。粉塵爆発の危険性も分かってはいて、溶接作業も清掃後に実行するのですが、振動などで隙間から粉塵が出て、爆発してしまう事例もあったのだそうです。