さらに「安全靴の安全性体感装置」。重さ20kgの重りを700mmの高さから靴のつま先に落とす装置です(図3)。靴には、足の指を模擬した竹の棒を入れます。「新東工業では、規定で20kgのものまでは手で扱ってよいことになっている。それほど重いものではないが、落とすと何が起こるか」。重りは厚さ十数mmの板なので、狭い面積に衝撃が集中するとはいえ、普通の靴では竹棒はひとたまりもありませんでした。

図3●安全靴の安全性体感装置
板状の重り(20kg)を靴の上に落とす。靴の中に入れた竹棒(足の指を模擬)が割れてつぶれてしまう。
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 では、安全靴を履いていれば大丈夫か。実は、安全靴の中の竹棒もつぶれました。説明に当たった超ベテランの「工師」の方によれば「安全靴に入っている金属板も、足の指との間に距離があるときはよいが、衝撃で変形して足の指に接するようになると、かえって指には集中荷重がかかる。安全靴は重要だが、過信してはいけない」とのことでした。

 「実はわりと最近、工場で大型のワークから取り除いたバリを安全靴で踏んづけた人がいたんですよ。ケガをしてしまったので、それから安全靴には金属製の中敷を入れることになりました」と、工師の方の口調は普通なのですが、何しろ実話に基づいた話なのでものすごい迫力です。

 同センターの2階には、危険を予知する訓練のため、マネキン人形による工場内の情景が作ってあります。危険な要因をわざといくつも盛り込まれているものです(図4)。

図4●「危険予知トレーニング」の情景
座ってアセチレンバーナーを使う作業者。手袋をしていない、マスクをしていない、引火の危険性がある溶剤の缶がそばにある、といった危険要素を造り込んである。
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 このセンターを開設したのは2008年のこと。「その効果だけかどうかは分からないが」(同社)、開設前に比べると、現在同社の事故は半分以下になっているそうです。