帰納法で導かれた医療機器産業参入への「回答」

2015/01/22 00:00
久保田 博南=ケイ・アンド・ケイジャパン 代表取締役社長(医工連携推進機構 理事)
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 2014年12月末に刊行された『無理なく円滑な医療機器産業への参入のかたち』(柏野聡彦著、じほう)には、医療機器産業参入を果たした企業、あるいはこれから参入を目指す企業に関して、数多くの事例が紹介されている。著者とその協力者たちが見いだした幾つかの法則が示唆されており、これから参入を目指す企業に対して参考となる指針を提示する内容になっている。

参入事例から自社の立ち位置の確認を

 結論から先に言ってしまえば、今、医療機器参入を真剣に考えている企業にとっては、十分なガイドブックになりうるということだろう。

 その裏付けとして、本書の特徴を端的に示すなら、きめ細かい取材を通して得られた「実例」が詳細に紹介されていることに尽きる。これだけあれば、現在の日本の医療機器関連産業の実情がかなり明らかになるだろう。数が多ければ、当然のことながら、実態、少なくともそれに近い現況をつかみうると考えられるからだ。

 まず、本書の論法といえば、「帰納法的論理」ともいえる。つまり、多くの実施例を通して得られた個々の情報から、一般則となる基本法則的な結論を導いている。本書で示されている実例を俯瞰してみると、必ずしも「新規参入企業」だけではなく「経験豊かな専門企業」も含まれている。さらには、まだ参入途上、いわば参入進行形の企業も多くみられる。その意味からすれば、決して成功例ばかりでなく、いわば苦戦を強いられていると予想される実例も少なくない。

 誤解がないように付け加えておかなければならない。こう書くといかにも「手あたり次第」に取材したのではと疑われそうだが、万が一そういう傾向があろうとも、読む側からすればメリットはかなり大きい。なぜならば、近未来に参入しようと考えているケースや、すでに参入を果たしている企業にとってみれば、「自分の立ち位置」を確認するための物差しとして利用できるからだ。

 自社の戦略や方針は、なかなかつかみにくいケースが多い。唯一、それを確かめられ、かつ反省の材料として使える手段は、「他の企業との対比」によってのみ可能となるといえる。

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