Purdue Universityが作製したGe CMOSによるインバーター回路(写真:Purdue University)
Purdue Universityが作製したGe CMOSによるインバーター回路(写真:Purdue University)
[画像のクリックで拡大表示]

 1947年に発明された最初のトランジスタが、ゲルマニウム(Ge)を材料に使ったものであることはよく知られている。Geは1960年代ごろまではトランジスタの基幹材料だったが、大規模集積回路(LSI)が登場した1970年代以降は主役をシリコン(Si)に奪われた。その後の半導体産業はSiトランジスタの洗練の歴史であり、現在ではシリコンこそが半導体の代名詞だ。

 それから半世紀を経た今、Geトランジスタが再び脚光を浴びている。Siトランジスタの微細化が限界を迎えつつある中、その性能限界を突破する性能向上(ブースター)技術として、LSIの基本素子にGeトランジスタを採用する機運が高まっているのだ。焦点となるのは、10n~7nm世代以降の論理LSIへの量産導入である。

 Geのトランジスタ材料としての特徴は、Siに比べて電子と正孔の移動速度(キャリア移動度)が高いこと。このため、Geトランジスタは原理的に、Siトランジスタに比べて高速に動作する。ただし、従来は高品質のMOS(metal-oxide-semiconductor)界面を作製することが難しいといった課題があり、材料のポテンシャルを十分に引き出せていなかった。ここ数年の技術開発で、そうした課題は克服されつつある。

 キャリア移動度の高い材料としては他に、電子移動度が際立って高いIII-V族(化合物)半導体が知られているが、Si技術との親和性ではGeに軍配が上がる。SiにGeを混ぜたSiGeがトランジスタ材料として既に長く使われているという量産実績でも、Geが有利だ。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!