「ロボットスーツHAL」開発物語(page 5)

世界に先駆けて進化する最先端人支援ロボット

2014/08/27 00:00
福山 健=日医文化総研
出典: 「知遊」第18号,2012年7月5日発行 ,pp.47-59 (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

 HALという名前はHybrid Assistive Limbの略称です。Hybridは「異質のものの混成物」、Assistiveは「補助的な」、Limbは「四肢、両手両足」。つまり、人間の四肢の動きを補助する混成物。

 では、どこがハイブリッドなのかといえば、HALの中には、自分が主体となっている部分とロボットが主体になっている部分とが混在しています。この随意と自律が混在しているというのが一つにあります。もう一つは、もっと根本的に、人間とロボットが一体化しているということです。それからさらに、筋肉とモーターのハイブリッドという意味もあって、最終的にはいろいろな意味でのハイブリッドということになっていきます。一つひとつ、それぞれが対応した状態でハイブリッドが実現されているということになります。

 つまり、生身の人間と人工物の一体化/混在。それから機能する部分の筋肉と人に動作するよう仕向けるパワー・ユニットとしてのモーターとの混在もあります。こういったものがすべて一つの系として成り立って、人間の意思のとおりに動き、人の動きに合わせてリアルタイムに動作してくれるのです。

 HALが動作することで人間の四肢が動き、HALの装着を通して動作に伴う感覚神経の情報が人間の脳に戻ってきます。これによってインタラクティブ(双方向の、対話型の)バイオ(生体)フィードバックが確立され、HALは人と一体化し、身体の一部となって支援動作を実現するのです。

 HALも人間社会と同じように第一号機の第一世代、愛知万博に出展された第五号機の第五世代というように、世代交代を重ねてきたのですが、そのたびに進化しています。第五世代では、それまで全重量が二三キログラムほどあったためコンピュータはバッグに入れ背中に背負っていましたが、ぐっと小型軽量化することに成功し、ポシェットに収められるようになりました。足に装着する駆動部も三割程度軽量化できました。

 皮膚表面の電気信号を検出するセンサも、皮膚に直接貼る必要のない、非接触でも電気信号を検出できるようなものを開発しています。モーターも非常に柔らかい動きができるように進化しています。

 汎用性の面では、動作支援機能をユニット化し、ユニットを組み合わせることで、両脚型、単脚型、膝関節型など、装着者の支援に必要な症状・部位に合わせた構成を可能にしました。また、ロボットスーツのサイズをXL、L、Mとし、大腿長、下腿長、腹囲、大腿囲、下腿囲を微調整する機構を開発することで、装着者の個々の体型に合わせて装着できるようにしました。

 現在製品化されているものは下肢バージョンですが、従来から研究を進めてきた全身一体型も進化しています。HALは、人間の身体機能を拡張・増幅・支援するために開発された装着型ロボットですから、将来は必要に応じてスーツのように気軽に着用できる時代が来ればよいと思っています。

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