パルスオキシメータ開発に見る日米主導権争い(page 2)

2014/06/17 00:00
久保田 博南=ケイ・アンド・ケイジャパン 代表取締役社長(医工連携推進機構 理事)

汎用化で巻き返した日本

 やや古い話を持ち出すことになるが、筆者の書いた『健康を計る』(講談社・ブルーバックス、1993年刊)の中に、パルスオキシメータの簡易化・小型化といった汎用化への要望がある。当時、数千台程度の市場だった同機器の将来性について、さらなる普及を見込める「条件」を示す狙いがあったからだ。

 この“要望”に応えてくれたのは、どちらかといえば日本のメーカー群だ。「ものづくり」という観点からすれば、適当なテーマだったことを裏付けている。

 昨年度(2013年)の日本市場は12万台に達したというデータがあり、ここ20年で2桁ほどの市場拡大となった。汎用機器としてのパルスオキシメータの市場拡大は、米国より一歩リードした感がある。そして、この日本市場の拡大を後押ししたのは、パルスオキシメータの汎用化で先行した国内メーカーに他ならない。ただし、この汎用品市場の拡大競争は、ここにきて中国メーカーの台頭もあり、国内メーカーも安閑としていられない状況に置かれていることも事実だ。

未来への開発も不可欠なパルスオキシメータ

 一方でパルスオキシメータには、汎用化とは裏腹に、真の医療機器として要求される「測定精度の向上」や「応用パラメータの開発」という要求もある。こうした要望への対応に熱心なのは、現在のところ米国企業だ。

 これまでの基本技術からすれば、パルスオキシメトリーに使われている光の波長は2種類である。ところが、その発展型としての新パラメータ、たとえば一酸化炭素や総ヘモグロビンの計測となると7種類ほどの多波長を利用する方法論が支配的となっている。当技術を駆使してこのニーズ分野への進出を狙って商品化にこぎ着けたのが、米Masimo社なのである。

 さらに、未来的な予測をするなら、今後のITとの結び付きが必須になってくる分野が残されている。この領域は、介護や健康分野への適用が期待され、その有力候補こそパルスオキシメトリーだと推測される。

 この新領域にどういう企業が興味を持つかは、現時点では未知数だ。とはいえ、既に競争は始まっている。その意味からしても、パルスオキシメータはまだ完成品とはいえない。誰もが注目する新分野への仕掛けをするのは果たしてどこなのか。興味津々というところである。

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