日本が世界に誇る上下水道や交通システム、エネルギー・プラントといったインフラの海外展開は、世界で日本の存在感を打ち出す起爆剤となるだけでなく、建築・土木、ICT(情報通信技術)、電機・電子、エネルギーなど、様々な成長産業に波及効果を及ぼす。これまでは必ずしもうまくいったとはいえない日本のインフラ輸出を成功に導くには、未来予測が欠かせない。進出する国の歴史的、社会的、経済的要因を踏まえて地域に合わせた未来戦略を構築する必要がある。そのための基礎情報を体系的にまとめた「インフラ産業 2014-2023」の著者で、世界のインフラ事情に詳しい日本総合研究所の時吉康範氏が、世界のインフラ産業の将来像を展望する第3回。(日経BP未来研究所

中国、内陸部の経済発展を重視

 地域別に見たインフラの将来動向について述べる。(1)中国+ASEAN諸国、(2)環インド洋諸国、(3)アフリカ諸国、(4)南米諸国といった新興国諸国がどのようなインフラ政策を策定しており、具体的にどのようなインフラ・プロジェクトが計画されているかについて整理した。

(1)中国+ASEAN諸国
 中国では、持続的な経済成長の実現とともに内陸部の経済発展を重視している。そのため、内陸部の都市開発、鉄道、道路などの交通網整備、電力・水などの生活・産業インフラ整備を推進。一方で、天津など各地において生態城(エコシティ)など計画がなされるように環境問題にも関心が高い(図1)。

図1:中国+ASEAN諸国
出所:外務省「国別基礎データ」。国際通貨基金(IMF)「World Economic Outlook, October 2013」、『インフラ産業2014-2023』(日経BP社)
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 タイは、道路、港湾、電力といった基本的な産業インフラの整備により海外投資の誘致に成功した。現在は、「国家経済社会開発委員会(NESDB)」において、2012年から2020年までに既存の交通ネットワーク(陸上、海上、航空)の拡大、国のエネルギー・セキュリティの向上、通信インフラ開発、公共ユーティリティ・インフラの向上(産業、民生)を計画している。

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