日本発・医療機器開発促進のために(3)

日本市場をよく研究している米国企業

2014/03/24 10:30
久保田 博南=ケイ・アンド・ケイジャパン 代表取締役社長(医工連携推進機構 理事)

 医療機器の世界において、「なぜ米国企業に太刀打ちできないのか」という議論がなされて久しい。長い間、日本市場を見てきたものとして、一つのショッキングなデータを示して、何らかの活路を見出すきっかけにしたい。

何かの間違いかと疑いたくなるデータ

 PMDA(医薬品医療機器総合機構)のWebサイトにあるデータには、ときとして衝撃的な事実を突き付けられることがある。

 このWebサイトには「業者一覧」というページがあり、医療機器の添付文書が企業ごとに公開されている。以下に示すグラフは最新(2014年3月22日現在)のもので、日本における医療機器の公開数を上位10社に限定して抜き出してみた結果である。

図:筆者が作成
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 並べ替えてみてびっくりしたのは、上位10社のうち米国企業の日本市場への進出ぶりが並大抵のものでないという事実を知ったことだ。

 こうした事情を分析するには、機種ごととか、目的別とか、もっとじっくりと詳細を見つめてみないと正確なことが言えない。だが、大数の法則というのがあり、全体的な数字の示す事実が大きな過ちの結論を導く原因になるとも思えない。

 日本企業に関しては、診断器は強いが治療器は弱いとも言われ続けている。とはいえ、この数字が示すのは、そんな単純なことではないだろう。

日本市場を攻略する米国企業

 この数字から見て取れるのは、米国企業による日本市場攻略の意図だ。なぜなら、添付文書の様式一つにしてみても、薬事法に照らして、一つひとつ「日本語」で作り上げなければならない。その作業前に、届出、第三者認証あるいは承認をクリアするための膨大な費用と労力を必要とする。しかも、日本で売るための機器開発・改造といった地道な努力があるはずだ。

 日本企業自身にとっても大きな課題となっている法適合を、いとも簡単に突破してしまっているようにも見える。大型機器であれ、ごく一般的な消耗品であれ、ともかくすべての機種において、くまなく対策されてきているといえる。

 そうしてまでも、これだけ日本市場に入り込んできている製品群の数を突き付けられれば、アメリカ人の持つ開拓精神の神髄が見て取れる。それには、米国内で飽和しつつある製品を第二の市場に向けようとする志向性もあるだろう。その矛先が日本であることも事実なのかもしれない。

 そのために「日本市場をよく研究している」と感じざるを得ない。市場を知らなければ、日本企業以上の品数を売り込めるはずがない。

実情を理解して、どう打開するかを考える

 こうなったら、一気に米国を追い抜こうなどと考えないほうがよいだろう。ホームで負けているのにアウェイで勝とうなどと考えるのはもってのほかだ。それより、「一矢を報いる」という考え方のほうがはるかに現実的だ。

 なにもすべての面で1位になる必要はないが、米国の良さ、熱心さ、努力といった面を謙虚に学び、それを自社の製品に結び付けることを考えることが大事だろう。

 医療機器の世界でも、「日本の技術」「日本のものづくり」を生かそうという願いは、産官学を通じて言い続けられている。しかし、それらが製品の中で生きる場所を見つけなければ、全く意味をなさない。

 冒頭に示した数字の大きさは、医療機器産業が多品目・多様さという特徴を持つ特殊な業種であることも示している。それならば、「技術」「部材」「加工」といった日本企業の持つ優位性・特異性を商品に生かす道があるはずだ。

 各企業が自分の特性を見ながら、その生かし方を考え、しっかりした方針の下で実行し続けることを期待したい。痛烈すぎるデータだが、転んでもただで起きないくらいの気概がほしい。