ターゲットを真ん中に定めたはずが、誰もいなかった

 もちろん、「アジア均一化時代」とはいえ、現地の経済状況に合わせて投入する商品やサービスの価格帯などをきちんと考えることは重要だ。中国や東南アジアの国々の中間層は、日本の中間層と同じではないからである。日本の中間層は、現地での富裕層と考えた方が適切だ。

 にもかかわらず、日本企業は日本の中間層を想定して、現地でもマーケティングを展開しようとする傾向が強い。結果、ターゲットとして想定する消費者が存在しない商品が店頭に並ぶことになる。つまり、「ターゲットを真ん中に定めたはずが、そこには誰もいなかった」という落とし穴にはまりがちなのだ。

 「中間層」を旗印にボリュームゾーン商品を大量投入したと思っていたら、実は購入する層がほとんど存在しないニッチな市場だったという状況は珍しくない。逆に、アジアの若者が取り入れるスマートで安価な商品群は、日本のスマートな若者たちにも共通に受け入れられる商品になる可能性を秘めている。新興国に対して抱いている従来の意識を転換することが必要になっているのである。

 世界の消費トレンドを動かす若者の生活や消費のスタイルをきちんと捉えること。それは、成熟化が進んだ日本はもちろんこと、「スモール」、そして「スマート」になっていく世界の消費トレンドへの対応を迫られる新しい時代の商品開発や企業戦略で大きなヒントになるだろう。

 2015年には、「ASEAN共同体」が実現することになっている。これが現実になれば、人口で約6億4000万人の巨大市場が形成される。EU(欧州連合)や「米国」「カナダ」「メキシコ」が参加するNAFTA(北米自由貿易協定)を超える世界有数の市場だ。

 アジア開発銀行の報告書によれば、アジアの新興各国が順調に成長を続けた場合、世界のGDPに占めるアジアの割合は、現時点の27%から52%に拡大するという。日本のGDPが占める割合は現時点の9%から3%程度に下落するものの、アジア市場を取り込むことで一人当たりGDPは2倍以上に増えると予測されている。

 高齢化が進み、人口減少社会である日本にとって、アジアの成長は生命線である。その上で重要なことは、「若者」の視点でアジアを見ていく取り組みなのだ。