本連載ではこれまで、進化型すり合わせ開発のコンセプトおよび進め方を説明してきました。今後、日本の製造業各社が勝ち残っていくためには、説明してきた開発の進め方を取り入れていくことが必要だと考えています。また、毎回繰り返し触れているように、実践を通じて、個々の技術者が各ステップの目的、狙いを十分に理解し、段階的詳細化や全体俯瞰(ふかん)といった技術開発における重要な考え方を身に付け、様々な場面で応用できるようにレベルアップすることが重要です。

 一方で、開発現場からは「技術者一人ひとりが進化型すり合わせ開発の考え方に基づいて仕事を進めることや、それを通じて思考力を向上させることは大事だし、効果があることも理解できる。ただ、それだけで組織として成果を上げることは難しい」といった声も挙がります。

 当然ながら製品開発は1人で行うものではないため、個人のレベルアップだけでは実務成果に対する効果は限定されてしまいます。そのため、組織に対する取り組みが必要です。制度やインフラ面で例を挙げれば、今回の開発の進め方やQG*1におけるレビューのやり方を規定に組み込みルール化することが必要です。併せて、検討の効率化やナレッジの蓄積を目的としたITツールの整備も行うべきでしょう。人材育成面では、ただ実践に取り組むだけでなく、計画的に論理的思考力の強化を行うなど基礎スキルの底上げを図ることも必要です。

*1 QG Quality Gateの略。製品開発の過程でステージごとにあらかじめ設定し、基準に照らし合わせて進捗を確認する日程上の節目のこと。

 このように、進化型すり合わせ開発を通じて成果を挙げるための組織に対する取り組みは、多くの業務改革と同様に多岐に渡ります。今回はその中でも組織体制づくりの具体的なポイントに焦点を当てて解説します。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!