この中で日本にも通じると思われる「王二家の改装と再構築への焦り」を取り上げて紹介する。本書で挙げられている寓話は以下の通り。

 王二は住みやすいがいささか古くなった家に住んでいた。飾り物や、電灯、家具、水回り、電気系統などすべてが10年前のものだった。現在でも使うことできるけれど、もう数年したら時代に合わなくなってしまう。そこで王二は考え抜いた結果、いくらかの出費を覚悟して家を改修することにした。

 しかし、工事の当日、職人が床板をはがそうとしたので、王二は慌てて止めた。職人は「新しい床板にするためにはまず今の板をはがさないと」という。王二は「ちょっと待って。まず他の所を先にしてくれ」と言った。すると、職人はトイレに行って便器を外そうとする。王二は同じように驚いて制止した。すると職人は何もできなくなってこう言った。「王さん、古いものをそのままにしてどうやって新しいものを付けるんだい。もし古いままがいいなら改装しない方がいいよ。そのまま住んでいればいいんだから」。