法則5:部門間調整を円滑にする事務局

 ものづくり改革成功企業では、事務局のプロジェクトにおける調整機能が巧みだ。日本語の「事務局」という言葉だとその役割があいまいに感じるが、英語なら「coordinator」がこれに該当するだろう。coordinatorは辞書では「調整者、まとめ役」と訳されている。このような事務局の位置付けをで表現してみた。プロジェクト・リーダー、ワーキングメンバー、システム開発ベンダーに直結し、それらの間を調整する役割を担っている。必要に応じ、プロジェクト・オーナー(図ではプロジェクト主管と表記)とも直接調整を行う。

図●改革スコープに対応したプロジェクト体制の例
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 成功する企業では、この事務局に優秀な人材が抜擢されてアサインされていることが多い。改革プロジェクトが進行すると、プロジェクト・オーナーとプロジェクト・リーダー、ワーキングメンバーの間で微妙な認識違いや意識のずれが発生し、円滑な進行や意思決定の妨げになることがある。その結果、場合によっては間違った判断がなされてしまう。成功企業の事務局は、意思決定が滞った場合、誰と調整してどのような解決すればよいのかを的確に判断する。そして、関係者をアレンジし解決するまでナビゲートする。しかも、その時間が非常に短いのである。

 筆者は、ある改革プロジェクトのリーダーから、「プロジェクトの成功には、ロジックと政治力が必要だ」という言葉を聞いたことがある。ロジックとは文字通り「論理的に説明できる」ことであり、政治力とは「自分や相手の立場をうまく利用して巧みに物事を進めていく力」( 「kotobank」“政治力”の項から引用)である。うまい表現だと思ったが、成功企業の事務局は、まさにこのような能力を持っていて、プロジェクトの中で実践している。部門間調整を円滑にする事務局。これが成功企業、5番目の共通法則だ。