・日本のベンチャー企業の新興市場でのIPO(新規株式公開)数は2006年の155社をピークに、近年大幅に減少し、2010年は16社に。
・日本のベンチャーキャピタルの投資額は2005年の2834億円から右肩下がりで、2010年度には991億円と1000億円を切った。

 技術の進化のスピードが速い現代では、5年10年といった短いサイクルで、新しい産業が生まれ古い産業を置き換えていきます。大企業でも同じ事業を長い間継続することは難しく、常に自己否定と、新規事業の開拓が求められています。日本のように、技術の研究開発が大企業を中心に行われている国でも、新しい技術を武器に新産業を創出するベンチャー企業の存在は、国の産業を牽引するエンジンとして重要です。ソニー、ホンダ、パナソニックといった日本を代表する大企業もかつてはベンチャー企業でした。次世代のソニーやホンダを育てる必要があるのです。冒頭の数字はベンチャーエンタープライズセンターの調査結果ですが、日本のベンチャー企業の活動や投資は冷え切っています。また、文部科学省 科学技術政策研究所の調査(PDFの関連資料)によると、大半のベンチャー企業がIPOやM&A(企業による合併や買収)を検討していないとのことで、先行きも明るくありません。

 前回のコラム「デスバレー(死の谷)を乗り越えろ」では、原発のリスクが顕在化し、電力事情が悪化した日本では、今まで見向きもされなかった自然エネルギー・省電力技術への投資の機運が高まっており、新事業を推進するチャンスであると書きました。元気が無くなりつつある日本のベンチャー企業が、息を吹き返すきっかけになればと思っています。

 ベンチャー企業を育てるためには、起業家が懸命になって会社を立ち上げることが不可欠です。それに加えて、大企業が軒先を貸し、ベンチャー企業を育てることも必要ではないでしょうか。ベンチャー企業が圧倒的に不足しているのは、ヒト・モノ・カネ、さらに情報などのリソースです。開発だけでなく、マーケティングや営業、経理や契約、特許申請など、企業活動のあらゆる面で、大企業では当たり前のように揃っているインフラがベンチャー企業には不足しています。大企業にとってはちょっとした援助でも、ベンチャー企業にはとてもありがたいことは多いのです。

 例えば、半導体製品を設計・販売するベンチャー企業では、設計を行うためのCADのソフトから製品を出荷する際のテスト装置まで、実に多くのインフラが必要です。こういったインフラを整えるには、多額の資金がかかるだけでなく、ソフトや装置を動かすための特殊な技術スキルも必要なのです。また、大企業では当たり前の顧客とのコンタクトがベンチャー企業にはなかなかありません。製品の仕様を決めるために顧客を訪問したくても、顧客とのパイプが無い、仕方なくWebに掲載されている顧客企業の連絡先に電話しても相手にされない、といったことばかりなのです。