縦に折りたたんだ型紙を胴のカーブに沿わせて調整していく。

 その第1歩が採寸だ。茶入は側面がひずんでいたり、口が小さかったり、と、決して布を着せやすい形をしているわけではない。持ち主によって、着せ方のクセも異なる。誰がどんな扱い方をしても、いかに茶入とぴったり合うように仕立てるか。それが袋師の腕の見せ所だ。友湖の仕服は、裂が茶入れにすっと沿い、野暮なたるみがまったくない、と愛好家から垂涎の的だが、その要となる作業が採寸なのである。

 採寸にメジャーは用いない。毎回、自分で細長く切った紙を用意して、茶入の胴回りや、底の直径、切り上げの場所などに印を付けて、寸法を起こしていく。傍から見ると、すらすらと簡単なようだが、採寸時の0.2ミリや0.3ミリの差が、粋と野暮の大きな境目になる。

「だから、これ、しょっちゅう行っていないと感覚が狂ってしまいますわ」

友湖の工房にある型紙帳には、型紙と使用した裂の切れ端が張ってある。胴の型紙の上に朱墨で、注文主、茶入の名前、日付がある。これだけが作品のよすがとなる。

 さくさくと寸法を採りながら、友湖は硯の筆に手を伸ばす。印を付けるときは、筆に含ませた朱の墨を使う。職家の伝統を感じさせるのは、このあたりの何気なさだ。

 寸法を測り終えると、次は型紙おこし。型紙は仕服の胴となる部分と、底の2種類だ。底は外側と内側の間に、厚紙でできた中底というものが入る。中底を厚紙から切り取る際は、ボール紙で作った手製のコンパスともいうべき道具を使う。底の直径を測ったら、その長さの細長い紙を切り出し、厚紙の上に乗せる。真ん中に針を留めて、カッターでぐるりと一回り。すると厚紙の底が出現する。

 胴の型紙をおこすときに神経を使うのは、腰から底にかけてのカーブの付け方だ。型紙用の和紙を胴のカーブに合わせて、どのように寸法をおこせばいいか、何回か試す。実際に縫う段になって、どうもしっくり行かず、もう一度ほどいては線を描き直し、また縫って確認する、ということを繰り返すこともあるという。