日経BP社が2008年7月に開催したカーエレクトロニクス関連技術展「AT International 2008」の3日目(7月25日)の基調講演は,「セクシーでクレイジーなクルマとは」と題し,アクアビット代表取締役の田中栄氏と,尚美学園大学教授でITNY代表取締役の西和彦氏に対談をお願いした(Tech-On!の関連記事)。

 冒頭で田中氏は,自動車産業には,パワー革命,ICT(情報通信技術)革命,ビジネスドメイン革命という三つの革命が起こっており,そうした状況の中で,自動車がパソコンのように「つまらないもの」になっていくとして,次のように語った。

 「私自身パソコン業界にいたので実感しているのですが,パソコンを襲ったデジタル化の波は,人々の生活を便利にする一方でとても怖い現象をもたらしました。どのメーカーのどの製品を買っても,どれも同じようなもので,製品を所有する喜びといったものが薄れていってしまったのです。それは,今回の対談のテーマに掲げましたセクシーとかクレイジーといった言葉とは対極にある現象です」。

 田中氏が言う「三つの革命」の中にデジタル革命は含まれる。パソコンを襲ったデジタル革命以上の大きな波が押し寄せるということのようである。では,「デジタル化→つまらないもの化」と「セクシー・クレイジー」はどう結びつくのだろうか。田中氏は,「今日のテーマは,『セクシーでクレイジーなクルマ』なので,クレイジーな方をお呼びしました」と,西氏を紹介した。

「ミスター・クレイジー」登場

 「クレイジー」と言われるほど,西氏は熱心なクルママニアである。クルマが将来的に面白くなくなっていくとされる中で,「クルマが面白い」「クルマが好きだ」と感じるということは,どういうことなのかを西氏に聞こうという趣向だ。

 西氏のクルマ遍歴は,確かに凄まじい。これまでに2台しかクルマを乗り継いでいない筆者などにとっては,想像もつかない世界だ。ただ,聴いていて分かったような気がしたのは,西氏が本当の意味でクルマ好きになったのは、13年前にバブルが崩壊し、会社を辞めて、そのとき持っていたすべての所有車を売り払ったことがきっかけだった,というくだりである。