米Qualcomm(クアルコム)は2020年1月7日、自身のブログでセルラーV2X(C-V2X:Cellular Vehicle-to-Everything)の最新動向を解説した(Qualcommのブログ)。

出所:Qualcomm
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標準化はRelease 16へ

 セルラーV2Xには、直接通信モードであるV2V(Vehicle-to-Vehicle、車両間通信)、V2I(Vehicle-to-(roadside)-Infrastructure、車両インフラ間通信)、V2P(Vehicle-to-Pedestrian、車両歩行者間通信)と、移動通信向け周波数帯を使用するV2N(Vehicle-to-Network (cloud)、車両ネットワーク間通信)がある。3GPPによる標準化はRelease 14から始まり、Release 15、Release 16へと続いて、5G NRを使ったさらなる標準化作業が進められた。

 既に米Fordや中国の自動車メーカー数社にて採用されており、これらの国々では、RSU(Road Side Unit、道路に設置して車両などと直接通信する無線装置、路側機)へのセルラーV2X 適用も始まっている。

 米国国内では、USDOT(U.S. Department of Transportation、米国連邦運輸省)下のNHTSA(National Highway Traffic Safety Administration、道路交通安全局)は技術的に中立な立場をとっているが、FCC(Federal Communications Commission、米国連邦通信委員会)は既にセルラーV2X 向けに帯域幅20MHzを確保する案を発表し、セルラーV2Xに向けた整備を進めている。

世界中でフィールド試験と早期配備が進んでいる

 セルラーV2Xを使った大規模試験やフィールドテストは、既に2017年から開始されている。2017年1月に発足したドイツのセルラーV2Xトライアル推進コンソーシアムConVeX(Connected Vehicle to Everything of Tomorrow)(関連記事1)によるCES 2018での緊急車両のデモをはじめ、2019年11月には中国自動車技術会によるセルラーV2X関連の相互安全性確認試験が実施されるなど、世界各国で試験が行われている。公式に試験への参加を表明している自動車メーカーには、独Audi、BMW、 オランダFCA、米Ford、仏PSA、スペインSEATや日本ではLexus、日産などがある。中国国内メーカーや合弁企業なども間接的、または非公式に参加している。

 こうした活動には、Fordと米General Motorsが1995年にIEEE 802.11pを使用したV2X評価時に設立したCAMP(Crash Avoidance Metrics Partners LLC)が支援している。CAMPでは、試験に向けた手順開発や試験推進、性能評価、結果報告などを行い、その内容をV2V標準化に向けた情報として関連機関に提供している。これには、Qualcommや日産、韓国Hyundaiなども参加している。

モジュールが11社、インフラが12社超、自動車が11社以上

 こうした数々の試験結果を踏まえて、セルラーV2X商用化に向けた準備が着々と進められている。2018年にサンプル出荷を開始したセルラーV2X 対応チップセット「Qualcomm 9150」(関連記事2)は、既に11社のメーカーのモジュールなどに使用されており、インフラ側では、既に世界12社以上のRSUベンダーがこのモジュールを使った製品を商用開始している。自動車側でも、10社以上の車載メーカーやアフターマーケット関連業者がセルラーV2X対応製品の市場投入準備を完了しており、インドSasken、中国Thundersoftといったシステムインテグレーターも世界規模での対応を開始している。

 Qualcommでは、2019年に発表したセルラーV2Xの直接通信、ネットワーク通信双方をサポートする自動車向け4Gプラットフォーム「SA415M」、サブ6(6GHz未満の周波数帯)を利用する自動車向け5Gプラットフォーム「SA515M」に加え、2020年には最新のセルラーV2X対応アプリケーションプロセッサー「SA2150P」も提供し、セルラーV2X、LTE、5Gを使った短距離通信が自在に行える環境を提供する。

セルラーV2X活用システム実用化に向けた動き

 2020年には、中国などで、Qualcommのチップセットを搭載する各種モジュール、RSU、車載製品や自動車などのセルラーV2Xを活用したシステムが登場する。こうした実用化加速に向けて、Qualcommでは、上記に紹介したセルラーV2X対応チップセットQualcomm 9150や セルラーV2X対応アプリケーションプロセッサーSA2150を搭載したプラットフォームなどを、CES 2020でも紹介するとした(関連記事3)。