データ復旧大手の米ケーエルディスカバリ・オントラック(KLDiscovery Ontrack)の日本法人、オントラック・ジャパンは2019年12月2日、東京・千代田の日比谷国際ビル内に新設したデータ復旧ラボを本格始動させた。月間処理可能案件数は最大で350~500件と、従来の「3倍以上に増やした」(ケーエルディスカバリ・オントラックのチェン・クォック・リーアジア地域統括ダイレクター)。

ケーエルディスカバリ・オントラックのチェン・クォック・リーアジア地域統括ダイレクター
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 新設した「OTJ(Ontrack Japan)エンタープライズDR(Data Recovery)ラボ」は独自開発のデータ復旧ツールやソフトウエア、クリーンルームなどを有し、約10人の専門エンジニアを抱える。「ハードドライブやSSDのテクノロジーの変化は速いが、拠点を市場の近くに構えることで迅速に対応できる」(リーダイレクター)。以前は海外で実施していた「物理的に壊れた磁気テープからのデータ復旧」なども新設したラボで対処できるようになった。

 オントラック・ジャパンが日本にラボを設けた背景には、レガシーシステムを保有し続けた場合に日本企業がたどるシナリオ「2025年の崖」(経済産業省が発表)がある。同社はデータ復旧のほか、レガシーシステムからクラウドへのデータ移行といったデータモダナイゼーションの支援サービスも手掛け、双方の需要を狙う。

多様なテープドライブを常設
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 米ネットアップ(NetApp)や米ヴイエムウェア(VMware)、米マイクロソフト(Microsoft)、米IBM、米オラクル(Oracle)といったパートナー企業との連携を深め、「包括的なサービスを提供していく」(リーダイレクター)。オントラックは米アップル(Apple)の認定データ復旧プロバイダーでもあり、最新型のMacに搭載されている「Apple T2 セキュリティチップ」からのデータ復旧にも対応しているという。

 「韓国やシンガポールと比べて、日本はデータ復旧の問い合わせが少ない」。リーダイレクターはこう話す。「データ復旧に対する多様なソリューションがあるという認知が広がっていないのではないか」(同)。日本でデータ復旧専門エンジニアを育てるなど啓発にも力を入れていく考えだ。

自然災害が発生した際などには復旧の依頼が増えることがある。写真のように被災したハードドライブからもデータを完全に復旧できた
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