東急とJR東日本、ジェイアール東日本企画(jeki)は2019年11月20日、静岡県の伊豆地域で12月1日から実施する「観光型MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)」実証実験の詳細を発表した。地域内の鉄道やバスを乗り放題で利用できる電子フリーパスをスマートフォンで発行し、周遊を促す。

東急とJR東日本、ジェイアール東日本企画(jeki)が実証実験で発行する電子フリーパスの画面。伊豆地域の鉄道・バスを利用できる
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 静岡県下田市内で運行するオンデマンドバスや、観光施設などで利用できる電子チケットもスマートフォンで購入でき、キャッシュレスで利用できる。

観光船などの電子チケットも購入できる
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 実証実験は2019年12月1日から2020年3月10日まで取り組む。静岡県河津町で咲く早咲きの「河津桜」を目当てとする観光客で交通渋滞が深刻になる2月に公共交通機関の利用を促す狙いもある。電子フリーパスは利用できるエリアが異なるものが6種類あり、価格は大人500円~4300円(税込み)。JR伊東線(熱海駅~伊東駅)や東急傘下の伊豆急行線(伊東駅~伊豆急下田駅)などの鉄道や、周辺のバスを利用できる。スマートフォンでクレジットカードを登録して購入し、駅係員やバス運転手に画面を見せて利用する。

 実証実験は2019年4~6月に実施した第1期に続く第2期に当たる。

 第1期・第2期の合計で電子フリーパスの販売目標を1万枚に設定していたが、第1期では1045枚しか売れず、目標達成率は10%と低迷した。東急の森田創都市交通戦略企画グループ課長は「第1期で見えた多くの課題を踏まえて改善策を講じた。第2期では残り約9000枚の販売目標を何とか達成したい」と話した。

東急の森田創・都市交通戦略企画グループ課長
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 最大の改善点はユーザーインターフェースの変更である。第1期は独ダイムラー傘下のMaaSシステムベンダーで海外で多くの実績を持つ独ムーベル(moovel)のシステムを採用。同社製品をベースにiPhone/Android向けのネイティブアプリ「Izuko(イズコ)」を開発し、これを通して電子フリーパスなどを提供した。

 利用者にとっては、観光でたまに訪れる際に専用アプリをダウンロードするのはハードルが高かったとみられる。第2期はjekiが内製し、新潟市でのMaaS実証実験「にいがたMaaS Trial」などで利用しているシステム「wallabee(ワラビー)」をベースにしたものに作り直した。

 専用アプリのダウンロードが不要で、スマートフォンのWebブラウザーだけで動作するのが大きな特徴だ。従来のIzukoアプリは提供終了し、ムーベルとの協業関係も解消する。jekiの高橋敦司常務は「第1期の準備時点ではMaaSシステムの選択肢が少なく、ムーベルはその中で最善の選択だったと思う。だが実証実験を始めてみると専用アプリの制約は大きく、アプリ提供開始後に柔軟に変更しにくい問題もあった」と説明した。